#58 ウエイトマシンとフリーウェイトの違いによるパフォーマンスへの影響

ALL EVIDENCE BASE TRAINING

ウエイトトレーニングをする上で、マシンを使ったり、フリーウェイトでトレーニングしますが、実際にこの2つのトレーにニング方法で、どのようにパフォーマンスの効果の違いがあるのかということを理解できていることは少ないと思います。 

本記事では、そのようなことを踏まえてウエイトマシンとフリーウェイトの違いによるパフォーマンスへの影響に関する3つの研究を紹介します。

以前、フリーウエイトと比較したウエイトマシンのメリット・デメリットについても書いたのでこちらも読んでみてください。

目次

  • カンザススクワットテストでのスミスマシーンとフリーウェイトの比較研究
  • 8週間のウエイトマシンとフリーウェイトによる筋力トレーニングの効果の比較研究
  • リフト・パワークリーンエクササイズでのフリーウェイトとウエイトマシンの運動特性の比較研究

カンザススクワットテスト(KST)でのスミスマシーンとフリーウェイトの比較研究

※KST(カンザススクワットテスト:無酸素性パワーを測るテスト)

【目的】
KSTでのパフォーマンスを、スミスマシンまたはフリーウェイトを使用して比較し、このテストにフリーウェイトを使用する可能性を判断する。
【方法】
測定前の期間にスミスマシンとフリーウェイトをトレーニングをしてやり方の精度を上げた23人の陸上選手を対象に行った。
【結果】相対的な疲労や生成された乳酸の違いを記録しなかったものの、フリーウェイトがより高い筋出力のピークと平均筋出力を生成したことを示した。
【結論】
KSTでのフリーウェイトの使用を推奨をする。

もともとカンザススクワットテストではスミスマシンを使用して作られたテストであるため、テストに関してはフリーウェイトにする必要はないと思います。

しかし、トレーニングに関しては、フリーウェイトの方が優れていることがここでも明らかにされていることは重要な点だと思います。

8週間のウエイトマシンとフリーウェイトによる筋力トレーニングの効果の比較研究

【目的】
筋力と筋パワーに対するフリーウェイトとウエイトマシンのエクササイズの有効性を評価すること。
【方法】
120人のスポーツ科学の学生のサンプルを使用した。8週間にわたって行われ、2週間のセッションがあり、パラレルバーベルスクワット(フリーウェイト)とレッグプレス(マシン)で構成された。
【結果】
両グループの最大筋力は増加した。しかし、フリーウェイトトレーニングではSJ(スクワットジャンプ)、CMI(カウンタームーブメントジャンプ)のジャンプ動作の改善が見られた。
【結論】
ジャンプパフォーマンスを向上させるために、レッグプレスマシンの代わりにフリーウェイトでのスクワットの使用を推奨できる可能性がある。

以上の研究結果から、動作パフォーマンスの向上を目的としたトレーニングとして、フリーウェイトの方が有効であることが考えられます。

また、他の研究で言われていることですが、フリーウェイトは、マシンでのトレーニングと比較して、ホルモンの反応をよくする方法としても考えられています。(Shaner et al, 2014)

リフト・パワークリーンエクササイズでのフリーウェイトとウエイトマシンの運動特性の比較研究

【目的】
リフト・パワークリーンのエクササイズをフリーウェイトまたはウェイトマシンでの運動特性を比較する。
【方法】
このエクササイズの経験を持つ14名の被験者を使用し、両グループで1RMを計算した。また、記録された最大値の85%で両グループのエクササイズの動力学を調査した。(2セッションで実施され、その間1週間の休息)
【結果】
最大筋力と生成された平均の筋パワーはフリーウェイトで高く、同時にピークスピードと平均スピードはマシンを使用した方が高くなった。
【結論】
マシンの機械的制限は、特定の負荷容量を必要とする場合があり、これにより運動力学的レベルで2つのグループ間に違いを生み出すと考えられる。

リフト・パワークリーンエクササイズは矢状面上で見られる一連の動作からの機械の制限によって筋出力に対して悪影響を受ける可能性あることを考慮する必要があります。

実際にこの著者は『機械の摩擦に加えて、負荷に対してパワーと筋力を発生させようとするときに、マシンによって制限された軌道が理想的な身体位置を維持することを困難にする可能性がある』ことも説明しています。

実際、フリーウェイトでは、全動作を通じてバーベルが常に身体に近い軌跡を表します。

まとめ

比較研究まとめ
  • フリーウェイトの方がスミスマシンより高い筋出力のピークと平均筋出力を生成する。
  • レッグプレスとフリーウェイトの比較では、フリーウェイトの方がジャンプ動作の改善がより高く見られる。
  • パワークリーンエクササイズでのマシンとフリーウェイトの比較では、フリーウェイトの方が最大筋力と生成された平均の筋パワーが高い結果となった。

どのエクササイズでもフリーウェイトとマシンの比較でフリーウェイトの方が筋出力が高い結果となったことから、筋力の向上とパフォーマンスの向上を目的としている場合フリーウェイトでのトレーニングをお勧めします。

 

引用文献

Luebbers, P.E., Fry, A.C. (2016). The Kansas Squat Test Modality Comparison:
Free Weights vs. Smith Machine. Strength Cond Res. S0(8), 2186-2193.

Wirth, K., Keiner, M., Hartmann, H., Sander, A. and Mickel, C. (2016). Effect of 8 weeks of free-weight and machine-based strength training on strength and power performance. Hum Kinet. 15 (53), 201-210.

Shaner, A.A., Vingren, 3.L., Hatfield, D.L., Budnar, R.G. 3r., Duplanty, A.A. and Hill, D.W. (2014). The acute hormonal response to free weight and machine weight resistance exercise. J Strength Cond Res. 28(4), 1052-1040.

Jones, R.M., Fry, A.C., Weiss, L.W., Kinzey, S.3. and Moore, C.A. (2008). Kinetic comparison of free weight and machine power cleans. J Strength Cond Res. 22(6), 1785-1789.