#149 ストレス反応が及ぼす体へのさまざまな影響

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人がストレスを受けると、脳内の視床下部というところがストレスホルモンを分泌します。このストレスホルモンは、人の体が「戦うか逃げるか」の防御反応を引き起こすとされています。この防御反応のために人の体の心臓の鼓動は早く、呼吸が荒くなり、素早く動けるための筋肉の準備ができます。このストレス反応は、自分の体を守るための正常な反応ですが、これが継続的に続くようになると健康的な問題を引き起こす可能性が出てきます。

本記事では、継続的かつ過度なストレスによってどのように体に影響していくのかを簡単に解説していきます。

目次

  • 慢性ストレスの症状
  • 中枢神経系と内分泌系の働き
  • 呼吸器系と心臓血管系への影響
  • 消化器系への影響
  • 筋肉系への影響
  • 生殖機能系への影響
  • 免疫系への影響
  • まとめ

慢性ストレスの症状

ストレスは、人生のさまざまな経験に対する肉体的および精神的な反応です。誰もが大なり小なり毎日のようにストレスを感じています。仕事や家族に対する責任や大切な人が病気になったりなどの深刻な出来事まで、あらゆるものがストレスを引き起こす可能性があります。一瞬の短期的なストレスは健康に有益である可能性があり、深刻な状況に対処するのを助けてくれます。実際の体は、心臓と呼吸数を増加させ、筋肉が働きやすい準備をするホルモンを放出することによってストレスに反応します。

しかし、ストレス反応が継続的に続き、ストレスレベルが正常な量よりもはるかに長く上昇したままである場合、この慢性ストレスは健康に悪影響を与える可能性があります。慢性ストレスの症状は次のとおりです。

過敏性
不安
うつ病
頭痛
不眠症

中枢神経系と内分泌系の働き

中枢神経系は、「戦うか逃げるか」のストレス反応を担当します。脳では、視床下部が副腎にストレスホルモンのアドレナリンとコルチゾールを放出するように指令します。これらのホルモンはあなたの心拍を上昇させ、筋肉、心臓、そして他の重要な器官などの緊急時に対応できるようにするために必要とする領域に血液を送ります。

ストレスを知覚しなくなると、視床下部はすべてのシステムに正常に戻るように指示しますが、慢性的なストレスを受け続けてしまうと、ストレス反応は継続します。慢性的なストレスは、食べ過ぎや食欲不振、アルコールや薬物の乱用、社会的引きこもりなどの異常行動の要因になります。

呼吸器系および心臓血管系への影響

ストレスホルモンは呼吸器系と心臓血管系に影響を与えます。ストレス反応の間、酸素が豊富な血液を体に素早く分配するために、より速く呼吸します。喘息や肺気腫などの呼吸の問題がすでにある場合は、ストレスによって呼吸がさらに困難になる可能性があります。

ストレス下では、心臓も鼓動がより速くなります。ストレスホルモンは血管を収縮させ、より多くの酸素を筋肉に送るので、行動を起こしやすくなりますが、同時に血圧も上昇させます。

頻繁に感じるストレスや慢性的なストレスにより、心臓が長時間働き続けるので、心臓への不安は高まります。そして、血圧が上昇すると、脳卒中や心臓発作を起こすリスクも高まります。

消化器系への影響

ストレス下では、肝臓が余分な血糖値(ブドウ糖)を生成し、エネルギーを高めます。慢性的なストレスにさらされている場合、体はこの余分なブドウ糖の増加に対応できず悪影響を及ぼします。そして、この慢性的なストレスは、2型糖尿病を発症するリスクを高める可能性があります。

ストレスホルモンの急激な増加や速い呼吸、心拍数の増加も消化器系に悪影響を及ぼす可能性があります。その一つとしてあげられるのが、胃酸の増加です。遺産の増加により胸焼けや胃酸の逆流が起こりやすくなります。また、長期的なストレスは胃潰瘍を引き起こすリスクを高める可能性があります。

過度なストレスは、消化吸収の機能に影響を及ぼし、下痢や便秘につながる可能性があります。さらに、吐き気、嘔吐、または腹痛を経験する可能性があります。

筋肉系への影響

ストレスがかかると、筋肉を緊張させることで怪我から体を守ります。心身ともにリラックスできるとストレスで緊張した筋肉が和らぐ傾向がありますが、常にストレスにさらされていると、筋肉がリラックスする機会を失う可能性があります。継続的な筋肉の緊張は頭痛、背中や肩の痛み、他の部位の体の痛みを引き起こします。このような痛みの状態が続くと運動をすることも億劫になり、鎮痛剤などの薬に頼り始め、不健康なサイクルを引き込まれる可能性があります。

生殖機能系への影響

ストレスは心身ともに影響を受けます。常にストレスを感じていると、性欲を失うこともあるとされています。一時的なストレスにより、男性は性欲を司る男性ホルモンのテストステロンをより多く分泌する可能性がありますが、長期的なストレスでは、テストステロンの分泌が起きなくなります。これは精子の生産を妨げ、勃起不全やインポテンスを引き起こす可能性があります。また、慢性ストレスは、前立腺や精巣などの男性生殖器の感染リスクを高める可能性があります。

女性の場合、ストレスは月経周期に影響を与える可能性があります。過度なストレスによっては不規則な、より重い、またはより痛みを伴う生理期間につながる可能性があります。慢性ストレスはまた、更年期障害の身体的症状を増大することがあるとされています。

免疫系への影響

ストレスは免疫システムを刺激しますが、適度なストレスの場合は体にとってメリットとなる反応を引き起こす可能性があります。 この免疫反応は、感染を防ぎ、傷を癒すのに役立ちます。 しかし、長期的にストレスを受け続けてしまうと、ストレスホルモンによって免疫システムを弱め、外部からの菌やウイルスに打ち勝つ体の反応を低下させます。 そのため慢性的なストレス下にある人々は、インフルエンザや風邪などのウイルス性疾患やその他の感染症にかかりやすくなってしまいます。 さらに、慢性ストレスは、病気や怪我から回復するのにかかる時間を伸ばす可能性があります。

まとめ

ストレスが体に及ぼす影響
正常なストレスの場合は、正常な体の反応が起こり、人にとって必要な体の変化を引き起こします。しかし、このストレスが継続したり、過度に働くと正常な体の反応ではなく、さまざまな病気のリスクになる可能性のある反応を引き起こしてしまいます。このようにしてなるストレスが原因の病気というのも少なくないと個人的には思っています。

情報社会になり、昔以上にストレスにさらされる生活を強いられていて、ストレスを減らすこと自体難しいことではありますが、意識的にストレス対策をすることで、不必要な病気も防ぐことができるのではないでしょうか。