#157 朝食を食べないことは不健康か?【論文から考える真実】
ALL CONDITIONING DIET/ NUTRITION
【朝食はその日の最も重要な食事である】ということは、一般社会において普通に言われていることであります。また、学校の教育でもそのようなことを言われ続けてきたと思います。そのため、多くの人は朝食を食べることが健康的であり、他の食事よりも重要であると考えています。また、朝食は体重を減らすのに役立ち、朝食を抜くと肥満のリスクが高まると言われています。多くの栄養士でさえ朝食を食べることを推奨しています。しかし、新しい信頼の高い研究では、誰もが朝食を食べるべきであるという普遍的な考えに疑問を投げかけ始めています。
本記事では、様々な研究論文を元に本当に朝食を抜くことが健康的でないのかどうかについて書かせていただきます。
目次
- 朝食を食べる人は健康的な習慣を持つ傾向がある
- 朝食を抜いても新陳代謝は落ちない
- 朝食を抜いても体重は増えない
- 朝食を抜くことのメリット
- まとめ
朝食を食べる人は健康的な習慣を持つ傾向がある
多くの研究では、朝食を食べる人の方が健康的である傾向があることが示されています。例えばですが、朝食を食べる人の方が、太りすぎや肥満になる可能性が低く、慢性疾患のリスクも低いとされています。このことから、多くの専門家は朝食を食べる人が健康的であると主張しています。
ですが、これらの研究はいわゆる信頼性が高くない観察研究であり、これらのことについての因果関係を示すことはできないのが現状です。これらの研究は、朝食を食べる人はより健康である可能性が高いことを示していますが、朝食自体がそれを引き起こしたことを証明するわけではありません。
その理由として、朝食を食べる人には、他の健康的なライフスタイルの習慣がある可能性があるからです。例えば、ある研究で示されていることとして、朝食を食べる人は、食物繊維と微量栄養素が多い、より健康的な食事をとる傾向があります。一方、朝食を抜く人は、喫煙量や飲酒量が多く、運動量が少ない傾向があります。
これらの傾向から、健康が朝食自体とは何の関係もないかもしれないことの可能性があると考えることができます。実際、ランダム化比較試験を実行した質の高い研究では、朝食を食べるか抜くかでは実際に健康的に変わりがないことを示唆しています。
朝食を抜いても新陳代謝は落ちない
朝食を食べると新陳代謝が活性化すると言われることがあります。これは、食べ物を摂取した時に起こる燃焼カロリーの増加の減少をもとに言われていることです。ですが、新陳代謝を活性化するために重要なのは、1日を通して消費される食物の総量であり、どのタイミングで、どのくらいの頻度で食べるかは関係ないとされています。ある研究によると、朝食を食べたり抜いたりする人の間で、24時間に消費されるカロリーに違いはなかったと報告もされています。
朝食を抜いても体重は増えない
朝食を抜く人は、朝食を食べる人よりも体重が増える傾向があると主張されることがあります。朝食を抜けがその分だけ、カロリー摂取が抑えられると普通は思いますが、このことを主張人の中では、朝食を抜くことでいつも以上に空腹感に迫られ、昼の時間帯や夜の時間帯に食べ過ぎてしまうということを言う人がいます。これは、実際として起こるかもしれませんが、証拠によって裏付けられているわけではありません。
実際、いくつかの研究では、朝食を抜くと、全体的なカロリー摂取量が1日あたり最大400カロリー減少する可能性があることを示しています。これは人の一度に食べる量の限界を考えると、朝食を抜くことそう摂取カロリーが減ることは当然のようにも思います。
また、他の質の高い研究では、309人の肥満の男性と女性を対象にし、朝食を食べるグループと抜くグループを4ヶ月間比較しました。その結果、4ヶ月後にグループ間で体重の差は見られず、結論として言えることは、人々が朝食を食べたのか抜いたのかで問題はないと言うことでした。
この結果は、朝食を食べる習慣が体重減少に及ぼす可能性があるかどうか調べた他のいくつかの研究によっても裏付けられていて、朝食を抜いても目に見える体重減少への影響はないことが示されています。
朝食を抜くことのメリット
朝食を抜くことは、インターミッテントファスティングの方法でもあります。
インターミッテントファスティングとは1日のうち8時間の間は、食べ物をたべ、16時間の断食をすると言う方法です。
» 参考:科学的根拠に基づいた体重を減らす17の方法【食事・筋トレ・習慣など】
このファスティング方法での食事時間は通常、昼食から夕食までの範囲で行われます。つまり、毎日朝食を抜くということです。
インターミッテントファスティングは、カロリー摂取量を効果的に減らし、体重減少を促進し、代謝が改善することが示されています。しかし、インターミッテントファスティングや朝食を抜くことはすべての人に適しているわけではなく、その効果は個人差があることも他の研究では言われていることに注意が必要です。
インターミッテントファスティングや朝食を抜くことは特定の人にプラスの効果を与えるかもしれませんが、人によっては頭痛、血糖値の低下、失神、集中力の欠如を発症する可能性があります。
これは体質の違いによるものでもある可能性があり、インターミッテントファスティングを徐々に慣らしていけば、このような症状も減っていくのではないかと個人的には考えています。
また、スポーツをしている人や成長期である子供のように1日に必要なカロリーや栄養が多く必要な人には、この朝食を抜くことに関してお勧めすることはできません。
まとめ

- 朝食を食べる人は、朝食を抜く人よりも健康的で痩せている傾向があるという研究データがありますが、これは、朝食を食べる人の方が健康的なライフスタイルの習慣を持っている可能性があるからです。
- 朝食は新陳代謝を活発にさせるわけではありません。
- 朝食を食べるか食べないかは、1日の総消費カロリー量には影響がでません。
- 朝食を抜くことは、インターミッテントファスティングなどのファスティングのプログラムの一つでもあります。インターミッテントファスティングは多くの健康上のメリットがあります。
朝食を食べないことが体にどう影響するのかを研究を交えて見てきましたが、実際には、朝食は特別食べれば健康的であるというわけではないことがわかりました。朝食を食べなくても残りの時間の食事を健康的に食べていて、健康的なライフスタイルを持っていれば、特に問題はありません。そのため、朝食を食べるか食べないかはその人の好みであり、その人のライフスタイルのよって選べるということです。
個人的には、決まった時間にご飯を食べるよりも自分の体に耳を傾けてお腹が空いた時に食べることが自然な形での食事の方法であると考えています。健康的な食事としては、自然に近いものを食べて適度に運動をしさえすれば、特に健康を害するようなことはないのかと思います。
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