#63 なで肩を治すより、なで肩になった方がパフォーマンスが上がる理由

ALL PRACTICAL TRAINING

なで肩についてネットで調べてみると、肩が凝るとか姿勢が悪いとかそのような悪いイメージを持つ情報が多いことに気づきました。
しかし、僕的にはなで肩はその悪いイメージよりもいいイメージを持っています。しかもなで肩は一流選手の姿勢であることもよく観察すればわかる事でもあります。

本記事では、このなで肩がどうして一流の選手に観察されどのようにパフォーマンスに影響するのかを解説していきます。また、後半ではなで肩になるためのトレーニング方法も紹介していきます。

目次

  1. なで肩がパフォーマンスを上げる理由
    ・肩を上げるための筋肉の緊張が低い
    ・胸郭の可動域が高い
    ・肩甲骨の可動域が高い
  2. なで肩になるために必要なトレーニング
    ・前鋸筋を鍛える
    ・広背筋を鍛える
    ・胸郭と肩甲骨の柔軟性を上げる
  3. まとめ

1.なで肩がパフォーマンスを上げる理由

なで肩がパフォーマンスを上げる理由
なで肩がなぜパフォーマンスを上げるのか、そして一流の選手によく観察されるのかというのは上半身の柔軟性と脱力に関係しています。
主に大きく分けると3つの要素で考えられるので以下に詳しく説明していきます。

肩を上げるための筋肉の緊張が低い

一般的な肩こりでは肩を上に上げるための筋肉である僧帽筋や肩甲挙筋などが緊張している事で起こります。なで肩が悪い理由として、これらの筋肉がなで肩により引き伸ばされることで緊張していると考えられています。しかし、それは単純な考えであって実際には肩こりの原因は、腕の前腕の緊張や巻き肩、頭の位置の前方へのずれ、ストレス、内臓の不調など、なで肩とは関係ない事で引き起こされます。逆になで肩になると肩を上に上げるための筋肉である僧帽筋や肩甲挙筋などの筋肉の緊張は下がります。
パフォーマンスへどのように影響しているかというと、肩が上に上がらずしっかりと脱力した状態で下に下がると腕と胴体をつなぐ筋肉である広背筋と前鋸筋が働きやすくなります。腕と胴体部のつながりを作るためには、この2つの筋肉がしっかりと作用することが大切になります。腕と胴体のつながりがない場合は、胴体で生まれる力を腕まで伝えられることができず、腕だけでものを投げたり押したりしてしまうためパフォーマンスが低下してしまいます。また、走りの時の腕の振りは重心の切り返しを行うための大事な要素でもあるため、肩の緊張が高く肩が上に上がっている人などは、重心移動時にスムーズに行えずスピードが遅い傾向にもあります。

頭の位置によってどのような体の変化があるのかを書いた記事もあるのでよかったら読んでみてください。

胸郭の可動域が高い

なで肩がパフォーマンスを高める理由の一つとして胸郭の可動域が高いことにあります。正確にいうと胸郭の可動域が高くなればなるほど方が下がりなで肩になっていきます。これは胸郭の柔軟性が上がってくると胸郭の深部の筋肉がしっかりと動くようになり、胸郭の表面にある筋肉が緩んでくるからです。そして同時に頭の位置の前方へのズレや巻き方などの不良姿勢も改善しやすくなり、その結果として僧帽筋や肩甲挙筋などの肩を上げる筋肉の緊張も下がってきます。

ここで胸郭の柔軟性がなぜパフォーマンスを高めるのかという疑問を持つ方もいるかもしれませんが、その理由としては胸郭の柔軟性が高まることで胴体深部にある腸腰筋が活性化されることで説明がつきます。腸腰筋は主に足を上げるときに使われると言われていますが、他にも骨盤と胸郭を適切な位置関係に保つ働きや脚と胴体をつなげる重要な役割を持っています。これらがパフォーマンスを上げる理由でもあります。

以前に腸腰筋について書いた記事もあるので読んでみてください。


肩甲骨の可動域が高い

なで肩がパフォーマンスを高める他の理由として、肩甲骨の可動域が高いことでなで肩になることからも言えます。肩甲骨の可動域が高いと肩の緊張が下がりなで肩になります。

肩甲骨の可動域が高いとパフォーマンスが上がる理由として、胸郭の可動域が高いことと類似していますが、肩甲骨が自由に動かせることで腕を使うときに肩甲骨を適切なポジションに位置させることができ胴体から腕、腕から胴体への力の伝動を無駄なく生じさせることができます。また肩甲骨を胴体と分離して動かせることで肩甲骨自体から力を生み出すことができるようになり腕の筋出力も増加することが考えられます。

肩甲骨について書いた記事も読んでみてください。

2. なで肩になるために必要なトレーニング

なで肩になるために必要なトレーニング
実際になで肩になるために必要なトレーニングについて紹介していきます。

前鋸筋を鍛える

前鋸筋は上の図のように肩甲骨から前側の肋骨についている筋肉で一般的には肩甲骨を前方に動かす作用を持っています。また前鋸筋は腕を使う動作時に肩を下げたままに維持させる働きもあります。この働きが胴体と腕をつなげるために必要なものであり、胴体へは外腹斜筋という腹筋に連結しています。

具体的なトレーニング方法としては、ヨガなどの手を地面について行うハンドスタンド系のトレーニングで鍛えることが可能です。トレーニングではマシンを使ったり重りを持ったりというようなトレーニング方法を想像する人が多いかもしれませんが、前鋸筋は薄っぺらい筋肉でもあるので自重トレーニングの負荷の方が鍛えやすい特徴があります。

広背筋を鍛える

広背筋は胴体の後方から横にかけてあるでかい筋肉です。この筋肉も肩を下げる方向作用して腕の動かす間、肩が上がりすぎないように肩を維持してくれる働きがあります。
広背筋は背中にある胸腰筋膜を介して骨盤、そしてお尻の筋肉である大臀筋まで連結しており、肩を下げる作用以外に骨盤を安定させるための働きもあります。

具体的なトレーニング方法としては、懸垂ですが胸郭と肩甲骨の柔軟性がない状態での懸垂はアウター筋に頼った懸垂の方法をとってしまうため体が硬くなりやすくなってしまいます。そのため、懸垂のトレーニングを取り入れる前にはある程度の胸郭と肩甲骨の柔軟性の取得が必要になります。

また、ヨガのハンドスタンドのようなトレーニングでも広背筋を意識して行うことも可能なので、懸垂を取り入れる前に胸郭と肩甲骨の柔軟性のトレーニングを行うと同時に前鋸筋とともに広背筋に刺激をいれるハンドスタンドトレーニングをするとより効果的にトレーニングできます。

胸郭と肩甲骨の柔軟性を上げる

胸郭と肩甲骨の柔軟性を上げるためには胸を中心に上半身を動かす意識をもつことが大切です。よくありがちなのが、上半身を反る動きで胸ではなく腰を中心に使って反ってしまうような動きをしてしまうことです。また胸を反るといってもなるべくアウター筋を使った反り方をするのではなく胴体の深部から伸ばすように反れるとより胸郭や肩甲骨の柔軟性を上げることができます。これらも反るという同じ動きであっても意識の違いによって全く違う質のトレーニングになるということがわかると思います。
言葉で説明するとわかりづらいですが、実際に動きができるようになるとこの説明で行っていることがわかるようになります。

3. まとめ

本記事では、なで肩がなぜパフォーマンスを上げるのかについて解説してきました。

なで肩であることは、一般的に言われている肩の凝りを作る原因ではなく逆に肩の緊張を低くする姿勢になります。そして、肩の緊張が下がることにより肩が常に胴体とつながった位置にあり、胴体と腕の連動を作りやすい身体になります。

なで肩になるためのトレーニングは、自重でのハンドスタンドや胸郭や肩甲骨の柔軟性を上げるためのエクササイズ、懸垂などのトレーニングが挙げられます。

なで肩であることで腕の使い方が上手くなるのですが、このことがサッカーのようなスポーツにも関係あるのかと疑問に思うかもしれませんが、腕の使い方は足をメインに使うサッカーのようなスポーツでもパフォーマンスにとってとても重要になる要素の一つです。全身を連動させて体を動かせることで無駄のない動きができるようになります。全スポーツにおいて共通することでもあるので、是非参考にしてみてください。