#175 季節に合わせた体の使い方
中国最古の医学書と呼ばれる黄帝内径の中の素問の書物の中で、養成法という考え方があります。この養成法は、上古天神論と四季調神大論の2つの論として記されています。上古天神論とは、大昔の人が今よりも長寿であった理由を説いたもので、四季調神大論とは、春夏秋冬における心身を調和させる方法を論じたものです。
上古天神論についてどのようなことが書かれているかというと、、、
大昔、長寿だった人たちは、天文歴数を心得て春夏秋冬と調和し、飲食に節度があり、寝ること起きることに決まりをつけ、過度な感情に振り回されず、心身ともに調和が取れていました。そのため100年の寿命が全うすることができたのです。ところが、今の人たちは心身を過労させ、大食いをし、お酒をがぶがぶ飲み、酔っ払っては女性を求めて、精力を消耗し生の源の真気を失っています。そして、心身の真気を温存せず、欲望を満足させることに専念し、生活態度が全く無節制でありますので、50歳になると、もうヨボヨボに老化してしまうのであります。
ということが書かれています。どのようなことでもバランスをとって体を使うことが元気な体を持ち続ける秘訣であるということです。
四季調神大論、四季と生活を調和させるための体の使い方に関しては、本記事の中で紹介していきたいと思います。
目次
- 春の体の使い方
- 夏の体の使い方
- 秋の体の使い方
- 冬の体の使い方
- 梅雨時の体の使い方
- まとめ
春の体の使い方
春は、『発生』の季節といい、全てのものが芽生え、天地間の万物は生き生きと栄えます。春の過ごし方として、日の入りと同時に寝る、もしくは早めに寝て、日の出と共に起きます。夏に向けて冬に貯めていたエネルギーを解放して循環をよくしていく時期なので、激しい運動や気を引き締めることはせず、適度にゆったりとのびのび春の暖かさと共に過ごすことが大切です。この時期に静かに沈んだ状態になるでいると病気をしやすくなり、夏になっても汗が少なく冷え性になります。また、心を緊張させて、急激な労働をしたりすると、体調を崩しやすく、夏になっても気力が低下しているので、寒がる病気になったりします。
夏の体の使い方
夏は、『生長』の季節といい、万物のエネルギーが一番盛んにになる時期です。夏の過ごし方として、あまり夜更かしせず、日の出と共に起きます。心も体も発散できるように思いっきり活動し、1日に1回は発汗するように心がけます。もし、発汗せずに熱が体ん中にこもった状態でいるといずれ病気になります。また、冷たいものや水を欲するようになり、取り続けていると下痢をします。身体の中で一番熱が多いのが心臓であるため、体内に熱がこもると心臓を悪くしやすくなります。夏にあまり動かずにいると肺の活動が高まる秋になると、熱が肺にこもり乾燥して、痰が出ない咳が出ることがあります。近年では、エアコンが普及してどの家や職場にもありますが、発汗した時に汗を拭かずにエアコンの風に背中から当たることは体調を崩す原因になるので注意が必要です。また、寝ている最中も窓を開けて寝るなどして、風が肌に直接当たってしまうと良くないとされています。
秋の体の使い方
秋は、『収斂』の季節といい、万物が成熟して収穫される。秋の過ごし方として、鶏と同じように早寝早起きをします。夏と同様にあれもこれもやりたいというように活動的になったり、成し遂げられなかったことを後悔したり、イライラせず、心をゆったりとさせます。この時期にエネルギーを使いすぎてしまうと冬になって下痢をします。また、発汗しすぎると風邪になりやすいですが、秋に発汗した場合は直ぐに汗を拭き取って体を冷やさないように心がけます。発汗は、脱塩作用や泌尿器系の補助の役割を持っているため、反対に秋に全く発汗しないのもいいものではなく、適度に発汗するといいです。この時期の運動不足により頭が重かったり、肩が凝ったりすることが多くみられます。
ゴルフなどの体を捻る運動などは適度に発汗することができ、凝り固まった筋肉を解してくれるので、この時期の運動不足は最適です。
冬の体の使い方
冬は、『閉蔵』の季節といい、万物が静かに沈み消極的になる時期です。冬の過ごし方として、夜は早く寝て、朝は遅くまで寝て日がしっかりと出てから起き、体を冷やさないようにします。この時期は、エネルギーを貯める時期なので、心身ともに活動的になってはなりません。もしこの時期に発汗したり、酒をたくさん飲んで体を温めた後に反動で体を冷やすと腎が悪くなります。直ぐに腎が悪くならなくても、春になるとこれが原因となって手足が萎えて冷えたり、気力が低下したりします。
梅雨時の体の使い方
梅雨の時期になると、湿気が多くなり泌尿器と呼吸器の病気を起こしやすくなります。病気にならなくとも、湿気が多ければ、蒸し暑く、息苦しく感じます。蒸し暑い時は体を積極的に動かし、息苦しくだるい時は深呼吸をする、もしくは股関節周りの筋肉が硬直しているのを弛ませるように大股で歩いたりすると不思議と和らぎます。
まとめ
素問では春夏秋冬を陰陽の状態として表し、森羅万象の根本であると捉えています。そのため、春夏は陽に注意して全て発散させることに努め、秋冬は陰に注意して万物を温存することに努め、このようにして天地の万物に同調することが、健康に過ごせる生活だと考えられています。1年を通してみれば、生・長・収・蔵の順で生活態度をとっていくといいとされています。
以上のように、春夏秋冬の季節によって、体の使い方というのを工夫してみることで、より健康的で元気な体を手に入れることができるかもしれません。
このことと同様に季節にあった食べ物などを食べることもこの考え方である自然と共に生きることにもつながるので心がけてみてください。
#2 陰陽五行思想から考えられる身体の相互作用の考え方
陰陽五行思想と聞いて思い浮かべるのは、『東洋医学のなんかでしょ』とか『科学的根拠のないちょっと胡散臭いもの』であったりとかよく実態がわかられていないことが多くあります。僕自身も昔に理学療法士の学校を通い、全くこのような言葉には触れずに卒業を迎えました…