#176 姿勢が歪み、凝りが起こる5つの理由

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『良い姿勢をしなさい』と子供と時に言われて背筋を伸ばした記憶が自分の中出一度はあります。当時は、なぜ良い姿勢をしなきゃいけないのかということを言われることもなく、ただ良い姿勢が良いものだという認識でいました。大人になってから、体の様々なところに不調が出てくることがあり、姿勢が悪くなってるから体が歪み、肩が凝ったり疲れたりするんだと思うことはありました。

しかし、理学療法士、そしてスポーツトレーナーとして体を勉強していく中で、姿勢を常にピンと背筋を伸ばしていれば、このような体の不調が出てこないというシンプルなことではないことに気づかされました。また、良い姿勢というのも背筋を伸ばせばそれで良いのかということではなく、しっかりと足の裏に積木のように各関節である膝、股関節、骨盤、胸郭、頭がリラックスした状態で乗れていることがいい姿勢だということにも考えは変わりました。

しかし、この体全体がリラックスしている立ち方というのが仮にできていたとしても、姿勢が歪み、肩残りなどの不調が現れることはあります。つまり、このような姿勢の歪みそして体の不調は、悪い姿勢だけによって引き起こされる訳でなく、他にも原因があるということです。

そこで本記事では、この姿勢の歪みが起こる理由について、解説していきます。

目次

  • 姿勢が歪み、凝りが起こる理由
  • 歪みのでき方とその影響
    1.同じ動作、もしくは負荷をかけ続けた場合
    2.不意による急激なショックか、慣れてない動作を無理して行った場合
    3.異常姿勢による体の使い方を続けて習慣化させてしまった場合
    4.生理的な異常が続いて、それを保護するために異常姿勢ができてしまった場合
    5.同じ異常感情を持ち続けてしまった場合
  • まとめ

姿勢が歪み、凝りが起こる理由

姿勢が歪み、凝りが起こる理由
私たちが体を動かす時は、部分的な腕を使った動きであろうと、走りのように全身の動きであろうと、重心が体幹部(丹田あたり)にあることで効率的な動きができると言われています。しかし、その重心がずれてしまうと、偏った体の使い方をしてしまい、過剰に発達した部位と衰えてしまう部位が出てきてしまいます。そして、この偏りがある状態が続くと異常姿勢が生まれ、さらにその歪みを保護するために持続的で異常な筋肉の筋緊張を持ち始めます。この持続的な異常筋緊張は体に疲労をため、回復を妨げる元となり、凝りや痛みが発生してきます。

健康な体というのは、関節の可動域が正常にあり、動作一つにとっても体全体の筋肉をバランス良く使え、寝る時には全身の力が抜ける状態のことを言います。

歪みのでき方とその影響

歪みのでき方を分類すると主に5つの種類があります。そして、それぞれどのように体に影響しているのかが変わってきます。

1.同じ動作、もしくは負荷をかけ続けた場合

職人のように、いつも同じ姿勢動作をし続けてしまうがために、同じ部位に負荷がかかりすぎてしまい、体の歪みを作ってしまいます。また、スポーツ現場などでも同じ動作の繰り返しや、同じ筋肉を鍛え続けてしまうようなことで、歪みを作ります。

そのため、重心を丹田にしっかりとおけるための骨盤、胸郭の使い方を習得し、体全体で動作が行えるような体作りが大切になります。

2.不意による急激なショックか、慣れてない動作を無理して行った場合

何かにぶつかったりするような急激な刺激は体の重心が安定していないため、部分的に急激な力を入れてしまい、異常な筋緊張を起こさせてしまいます。そのため、このような刺激を受けた後には、変に緊張しているところが和らぐような体操をしていないといけません。

また、慣れていない動作をする場合は、変に力を入れてしまうことが多いので、疲れやすく、体を歪みやすくします。

3.異常姿勢による体の使い方を続けて習慣化させてしまった場合

文化が発達してきたことにより、習慣的に異常姿勢を作ってしまいます。例えば、丸まった姿勢であったり、ねじれた姿勢というのは、座って物事をすることが増えたことによって生じた異常姿勢です。また、片方の脚に重心を常においていることで偏った姿勢になったり、胸を張って背筋を伸ばすような一見良さそうな姿勢でも腰の筋の緊張を招くことがあるので、異常姿勢を引き起こしてしまいます。

このような異常姿勢による筋の持続的な緊張、特に股関節や背中の緊張は、内臓の機能低下にも影響を及ぼすことがあり、凝りや内臓の不調を訴えることもあります。

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4.生理的な異常が続いて、それを保護するために異常姿勢ができてしまった場合

生理的な異常というのは主に、食事や呼吸のことを指します。

食事に関しては、過食であったり、偏食の影響で背中が盛り上がってきたりして、不良姿勢を起こします。例えば、胃の負担が多くて左の背中が盛り上がり、側弯のような異常姿勢がみられることがあります。このことにより、重心が偏ってしまい、足首の動きも悪くなることから、スポーツ動作時には足首の捻挫が起きやすくなることも考えられます。このような場合は、胃を休めることはもちろんですが、それと同時に背骨や足首の体操が必要になります。

また、呼吸が浅かったりすると、胸郭が硬くなり肩が上がってくるので、肩や首の凝りの原因になったりします。他にもおしっこを我慢する時には、首に力を入れて恥骨を前に出します。性欲が高まると腰が捻れて、腎臓を圧迫し目の充血を起こします。空腹の時には右肩を上げ、便秘の時には右かかとに力を入れ、歯痛や頭痛の時には首を曲げます。

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5.同じ感情を持ち続けてしまった場合

心と体は同一であり、同じ感情を持ち続けることで体の歪みを作る場合があります。例えば、過度な興奮を意識的に抑圧しようとすると、呼吸の乱れを抑えるために首を前に出し、肩に力を入れます。考え事をしている時には、肩から上に力を入れて体を前のめりにします。何か行動を起こそうとする時には、胸を張ります。控えめで、自分の意見を押し殺す時には、重心が後方になりお尻を前に出して猫背になります。

このように、同じ感情を持ち続けて同じ姿勢を取り続けることによって、固定した異常姿勢を作り出すことがあります。

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まとめ

以上のように、歪みを作ってしまう理由というのは以下の5つがあります。

  1. 同じ動作、もしくは負荷をかけ続けた場合
  2. 不意による急激なショックか、慣れてない動作を無理して行った場合
  3. 異常姿勢による体の使い方を続けて習慣化させてしまった場合
  4. 生理的な異常が続いて、それを保護するために異常姿勢ができてしまった場合
  5. 同じ異常感情を持ち続けてしまった場合

つまり、習慣によるもの、外部刺激によるもの、身体的なもの、生理的なもの、心理的なものに分けられることができます。

逆にこれらを逆手にとって、歪みが起きにくい良い姿勢を身につけるための方法というのもあります。例えば、マッサージや整体などの刺激で整えること正しい動作を身につけることバランスの取れた食事をすることなどがあります。

また、心理的な部分では、“馬子にも衣装”という言葉があるように、子供に着物やドレスをきさせるといつも悪い姿勢がスッと良い姿勢になります。さらに興味深いことに、姿勢が心理的に影響を表すことがあるとされていることもあります。例えば、イライラしている時に胸を張るか、ゆったりと大股で歩いてみるとか、疲れたと思う時は顎を引いて腰を伸ばすと、元気が出て頭もはっきりして疲れにくくなるなどです。

このように、身体とこころは相互に影響し合っていることがあるため、このような仕組みを知っているだけでも自分の姿勢とこころをコントロールしやすくなるのです。

最後になりましたが、人間の体とは不思議のようで理にかなっているところもあり、今回の記事の考え方を知ることが自分自身を知るきっかけになることもにもつながるなとつくづく思います。ぜひ自分の体に矢印を向けて体験することと共に、この記事の内容も参考にしてみてください。

参考書籍

ヨガによる健康に生きる知恵 (著)沖正弘 日貿出版