#167 専属のスポーツトレーナーとして働く経験から思うこと
現在まで、オランダとベルギーでフィジカルセラピストとしてアマチュアのサッカークラブから、プロのサッカークラブ、他の競技では柔道のナショナルチームなどで仕事をしてきました。また、オランダの病院や治療院で短い期間ではありましたが働いた経験もあります。そして現在はプロのサッカー選手の専属のトレーナーとして働いています。
専属のスポーツトレーナーは、チームで働くことや治療院で働くことことは、同じ仕事でも働き方がかなり違うものになります。
今回は、その専属トレーナーの経験から一個人の考えとして、今後専属のスポーツトレーナーを目指したい人に参考になってもらえるよう書かせていただけたらと思います。
目次
- 専属トレーナーになるまでの経緯
- 専属トレーナーの仕事について
- 専属トレーナーのやりがいと失敗談
- まとめ
専属トレーナーになるまでの経緯
専属トレーナーになったもともとのきっかけはサッカーチームでもともと働いた時に1人の選手から専属トレーナーをやってほしいと言われたことがきっかけです。ちょうどその時にチームとの契約更新の期間であり、コロナの影響もありこのままチームで働いていいのかと言う思いと専属トレーナーで働きたいと言う気持ちがあり、その選手の専属トレーナーとなることを決めました。今となっては専属トレーナーなってチームでは経験することができないさまざまなことを経験することができ、その時に専属トレーナーとして働くことを選んでよかったなと思います。
サッカーチームで働いてた時は、チームの一員として働くことができ、専属トレーナーとは違ったやりがいを感じることができました。また、ヨーロッパということもあり、いろいろな国籍の選手を見ることができて、人種や人によっての体の違いについてもいろいろと学びました。また、他のメディカルスタッフやテクニカルスタッフの方々とコミュニケーションをとり、選手の状態を共有したり、怪我をした選手をケアしたりと、治療院などで働く時には経験できないことも経験することができました。
専属トレーナーの仕事について

仕事内容
専属トレーナーの仕事と言うのは様々なものがあります。例えば、トレーナーの仕事として1番初めに思い浮かぶのは、マッサージです。これは選手がトレーニングの後に疲れている体を癒したり、疲労回復に向けて準備をするために行われるものであります。トレーニングが多いトップアスリートの選手たちには、マッサージによって身体的だけでなく精神的にもリラックスができるものであると考えています。
専属トレーナーとして働く上で、個人的に大切だと思っている仕事の内容として、治療とトレーニングがあります。治療はマッサージと違って体の歪みや動きが悪い関節、筋肉に対して様々なアプローチ方法をとっていきます。また、内臓や神経、リンパなどにアプローチをすることもあります。この治療に関しては、怪我の予防をするためにはとても大切なことでありますが、パフォーマンスの向上にもつながるとても重要な仕事内容になります。トレーニングに関しては、パフォーマンスの向上を目的として行われることや怪我をしないための体作りとして行われることもあります。専属トレーナーとしてマッサージや治療ができるだけでなく、トレーニング指導もできてくると、より選手に貢献できるようになってきます。
専属トレーナーとして働く場合、選手とトレーナーの間に決め事によって違いますが、専属トレーナーによってはマネージャー的な仕事をすることもある場合があります。これに関しては個々のどのような契約をしているかによって変わってくることです。
1日の流れ
専属トレーナーの1日の流れとして、僕の場合は、選手のチームでのトレーニングの前の時間に施術とアクティベーション、そして練習後に施術やトレーニング、さらに必要であれば夜ご飯の後に施術とマッサージを行います。
その選手との時間以外の時間は他の選手を見たり、一般の人を見たりする場合もあります。また、自分の技術や知識の向上のために勉強に費やすことや他の事務的な仕事なども行っています。
専属トレーナーのやりがいと失敗談
専属トレーナーは、チームのトレーナーとは違い、選手とより密接に関わっていくため、自分が選手に対して行っていることが、より選手に影響しやすくなります。選手に対して自分の影響力が大きくなる分、それだけの責任感が生まれてきます。そのため、選手がコンディショニングを落としている場合には自分の責任だと思い、改善できるように最善を尽くしていきます。反対に選手のコンディショニングが良い場合には、このコンディショニングをどのようにキープしていくかについて責任を持って考えていく必要があります。そして選手と専属のトレーナーの間では、日々行っていることが目標に向かって前進していることが大切で、常にお互いに良いもの築き上げていく意識を持つ必要があります。
また、選手とのコミュニケーションに関しては、他の誰よりも1番長く接することにもなるので円滑にできるように、お互いに信頼しあっている関係であることが理想的です。トレーナーの立場としては、選手に対してイエスマンである必要はありませんが、選手をしっかりとリスペクトし、言葉の使い方や言い回しなど、伝え方を考えて円滑なコミュニケーションすることがとても大切なことになります。
過去の失敗談としては、選手のためだと思っていろいろアドバイスや体の改善点を指摘したりしたことがありましたが、選手との信頼関係ができていない状態では、それらのアドバイスや改善点はおせっかいに思われしまいます。この選手のパフォーマンスを向上させたい、良くしたいと思う事はトレーナーとして当然のことではありますが、選手が求めていること以上のことを伝えてしまうと、どうしても反発が生まれてしまい結果的に選手のパフォーマンスを向上させることができなくなります。そのため、選手が聞き耳を持つことができる信頼関係を築き上げていくことや選手のニーズに合わせて的確なアドバイスを伝えていくことがパフォーマンスをあげるための最短の道であると私は考えています。
まとめ
今回は、個人的な経験から専属トレーナーの仕事について書かせていただきました。
スポーツの現場でトレーナーとして働くためには、チームのために働くかそれとも個人契約をしてある特定の選手のために働くかと言う選択肢があります。そちらのトレーナーも、選手にとっては大切なそんな存在でいられるようにトレーナーとしての価値を日々高まっていくことが上を目指すトレーナーとしては大切な要素となります。
専属トレーナーは、チームトレーナーと違って選手とより密接に関係を持つため、自分の技術や知識を使って、選手により大きな影響を与えることができます。
今の時点での個人的な意見として、専属トレーナーは1人の選手に対してトレーナーがどれだけ変化を与えてあげられるか、そしてトレーナー自身も成長できるかと言う事をより追求できるため、チームでトレーナーとして働くよりも有意義な時間を過ごせるのかなと思っています。しかし、これはあくまで今の個人的な意見であり、チームで働くことに関しても、実際にとても勉強になることがたくさんあります。チームで長く働けているトレーナーさんは、コミニケーション能力が高く、チームの選手たちや他のスタッフと信頼関係を築きあげていて、僕個人としてはとても尊敬できる存在です。将来は僕もチームのトレーナーとして再び働きたいと思うかもしれないです。
今回の記事で少しでも専属トレーナーについて知っていただけたら幸いです。