#46 姿勢反射を使ったトレーニング方法

ALL PRACTICAL TRAINING

本記事では、トレーニングをする上でより効率的に実行できるように姿勢反射を利用したトレーニング方法について解説していきます。

また、体の軸とはなんなのかについて姿勢反射をからめて話していきます。

目次

  • 姿勢反射とは
  • 姿勢反射の種類
  • 姿勢反射を使ったトレーニング方法
  • 姿勢反射と体軸
  • まとめ

姿勢反射とは

姿勢反射とは文字通り、姿勢を保ったり崩れた時に重力に抗して自動的に姿勢を維持・安定させたりしようとする体に備わっている反射です。

体には体の部位の位置を認識するために筋肉や関節、皮膚などにある位置覚や三半規管にある平衡感覚、そして視覚あります。これらの感覚器官が姿勢反射を引き起こし、姿勢を保持するときや崩れたときに筋肉を適度に緊張させてバランスを取ろうとします。

余談ですが、

視覚の細 胞の視細胞の数(1億を越える)と視神経の数(約200万)に比し,聴覚はコルチ器の音のセンサーである内有毛細胞(3千500)と外有毛細胞(1万3000)と蝸牛神経(3万本),平衡覚の三半規管の感覚細胞 (3つ合わせて2万3000),耳石器の卵形嚢の感覚細胞(3万3000),球形嚢の感覚細胞(1万8000),前庭 神経(1万9000)と少ない。

引用:スポーツと平衡機能~姿勢反射 vs. 視覚と随意運動~東京大学名誉教授 東京医療センター名誉臨床研究センター長 国際医療福祉大学言語聴覚センター長 加我 君孝 各種のスポーツと平衡については岐阜大学教授の福田精により1957年

という事が言われており、視覚はバランスを取る上でとても重要な要素である事が分かります。

姿勢反射の種類

さまざまな姿勢反射がありますがここでは主にスポーツ動作に関わる姿勢反射について紹介していきます。

緊張性迷路反射

これは重力に対する反射でうつ伏せになると体全体の屈筋群が優位になり、仰向けになると伸筋群が優位になるという反射です。
実際に寝ていてもうつ伏せでいると腕と脚を曲げたくなりますし、仰向けで寝ていると体を伸ばしたくなるのもこのような体の仕組みとも関連しています。

頸反射(対称性頸反射・非対称性頸反射)

頸椎にある固有受容器よって感知されるため、頭部と体幹の位置よって起こる反射です。頸反射には、対称性頸反射非対称性頸反射の2種類があります。

対称性頸反射とは、顎を引いて頭部が前に傾くことで上肢が曲がりやすくなり、下肢が伸びやすくなります。この反射はスタートダッシュの時の姿勢を想像してもらうと分かりやすいと思います。スタートダッシュ時には顎を引くことで、地面を強く蹴り、腕を曲げて強く振るという動作を促してくれます。また、相撲などでの顎を上げるなという指導もこの反射によって脚で地面を押しやすくしているのが分かります。

反対に顎を上げて頭部を後ろに傾けることで上肢が伸びやすくなり、下肢が曲がりやすくなります。この反射は倒立姿勢などを想像してもらうと分かりやすいです。倒立時には頭を上げて、膝が曲がりバランスをとりますが、逆に顎を引いて
膝を伸ばして倒立しようとするとバランスを取るのが難しくなります。

非対称性頸反射とは、頭を左右に向ける事で向けた側の上・下肢が伸びやすくなり、反対側が曲がりやすくなります。腕相撲などで誰かと勝負をする時には、勝負する手とは反対側に頭を回す事でより力を入りやすくする事ができます。また、槍投げなどの投球動作や弓矢などの姿勢にもこの反射が利用されています。

腰椎反射

腰椎の側方への傾きにより、『上肢・下肢の促通・抑制機能及び頭部の位置が影響を受ける』と言われています。
このことから、体幹が横に傾いた方の下肢は伸びやすくなり、反対脚は曲げやすくなります。また、反対に体幹が横に傾いた方の上肢は曲がりやすくなり、反対側は伸びやすくなります。
そして、迷路反射の影響で、体幹が傾いた方向とは逆に頭部が傾きます。
これは、サッカーやバスケットのような競技での左右の素早いステップする時に起きる動作の時にも利用されています。例えば右に移動したい時には、一度左肩を下げるよな動きになり、左脚で地面を蹴り、右脚は右に出ていきます。

ロナウジーニョのステップ

目の動きによる筋反射

目の動きでは目線が向いた方向に筋収縮を促しやすく、反対側は逆に弛緩しやすいと言われています。
例えば、前屈運動では目線をしたに向けることで腹筋群が促通され、背筋群が弛緩されます。側方への目の動かしでは、動かした方の体側の筋収縮がしやすくなり、反対側は弛緩しやすくなります。

姿勢反射を使ったトレーニング方法

例えば緊張性迷路反射において、ベンチプレスの動作では仰向けで行うため上腕三頭筋や大胸筋などの腕を前方に伸ばす筋肉が優位に働きやすくなりこの反射をうまく利用できています。そのため、この姿勢反射の観点から座って行うチェストプレスマシンよりもベンチプレスの方が筋肉を優位に働かせて効果的に鍛える事ができます。

対称性頸反射では、肘の曲げる時に使う上腕二頭筋を鍛えるときと肘を伸ばす時に使う上腕三頭筋を鍛えるときに頭を前に傾ければ上腕二頭筋、後ろに傾ければ上腕三頭筋を効果的に鍛えられます。
また、レッグプレスのマシンを使う場合は、しっかりと顎を引く事で脚を押すための動作に抑制がかかってない状態で行う事ができます。

このような対称性頸反射を利用したトレーニングでは、筋肉を限界まで追い込みたい時に通常のように頸反射を意識せずレッグプレスを行い、きつくなってきたら顎を引いて頸反射を利用するという方法もあります。

体軸と姿勢反射


スポーツ選手が自分の持っている能力を最大限引き出すためには骨盤ー脊柱ー頭部からなる『体軸』と呼ばれる身体の軸が取れてなくてはなりません。
体軸取れていると、胴体と四肢が連動し効率良く動く事ができ疲れにくく、パワー発揮が高まっている状態になります。逆に体軸が取れていないと、四肢だけで動きを作ってしまい胴体と四肢の連動がなく、そして疲れやすく、パワー発揮が低くなっている状態になります。
この違いは、一流選手であるか二流、三流選手であるかの決定的な違いを生んでしまいます。また、一般に人でも腰痛や肩こりが多い人などはこの体軸が取れていない事が多いです。

体軸を安定させるためには、まずスクワットを正確にできるようになる事が大事です。そのためには、他のブログでも書かせていただいた、股関節の使い方や胸の意識の向け方などがとても重要になってきます。

体軸が取れていることを簡単に言うと、骨盤ー脊柱ー頭部がしっかりと安定している状態です。例えば、スクワット姿勢で頭を上から押されても少ない力で体を支える事ができる状態であれば、骨盤ー脊柱ー頭部が安定し、体軸が取れていると言えます。

そして、体軸がしっかり取れている状態でこの姿勢反射を利用する事が大切です。そうでなければ、胴体部が安定せずに四肢を動かすことになってしまうため、姿勢反射を利用したとしても変な癖がついてしまい、パフォーマンスを低下させてしまう恐れがあります。

まとめ

姿勢反射とは、姿勢を保持するときや崩れたときに筋肉を適度に緊張させてバランスを取ろうとする動物が兼ね備えている反射のことで、スポーツに利用できる姿勢反射は以下のものがあります。

緊張性迷路反射
頸反射(対称性頸反射・非対称性頸反射)
腰椎反射
目の動きによる筋反射

このような反射を知っていることで、普段トレーニングをしている内容にもう一本工夫を加えてより筋肉を促通させた状態で行う事ができるようになります。また、筋肉を最大限に追い込みたい時などにも利用が可能です。

スポーツ選手など高いレベルで身体活動が必要な人では、体の使い方を訓練する事で体軸をしっかりと保つ事ができるようになります。

そして今回紹介した頸反射を利用し、この体軸と組み合わせてスポーツ動作と連動させる事でスポーツパフォーマンス向上にもつながっていきます。