#89 オランダの医療制度(保険制度)について紹介します

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オランダの医療制度について、以前調べたことがあったのでシェアさせていただきます。

最近、オランダへの移住を考えている人も多いため、オランダの医療制度について少し紹介できたらと思います。また、他の国の医療制度を知ることで比較対象ができ、日本の医療制度はどうなのかということの考えのきっかけになってもらえればいいのかなと思っています。

補足ですが、オランダでフリーランスのスポーツトレーナーとして働いた経験を書いた記事もあります↓↓↓
 

 

目次

  • 基本的なオランダの保険の種類と実際
  • 健康保険について
  • 長期ケア保険について
  • 社会支援保険について
  • 子供保険について
  • まとめ

基本的なオランダの保険の種類と実際

基本的なオランダの保険の種類と実際
オランダの医療制度は世界基準をベースに、全国民が医療にアクセスできるよう医療保険加入を義務化しています。その他、オランダの歴史的な背景・社会的環境に適応するような特別な医療制度が設けられています。

基本的な保険の種類

オランダの医療保険は基本的に4つのカテゴリーに分けられます。

1. 健康保険 (Zvw)
2. 長期ケア保険 (Wlz)
3. 社会支援保険 (Wmo)
4. 子供保険

4つの保険の実際

国民はこの4つの保険にそれぞれ特定の方法で加入する事が可能です。
例として、掛かり付け医にいかなければいけないもしくは、病院に何らかのかたちで運ばれた場合は、健康保険のなかにあるベーシックパック(加入が義務化されている保険)から支払います。その後、永久的な介護・医療補助もしくは24時間ケアが必要な方は、長期ケア保険を申請する事ができます。

別の介護・医療補助の形として、社会支援保険子供保険があります。
病気のために自宅介助・ケアが必要な方、もしくは車いす生活の方は市役所に社会支援保険を申請できます。また、自閉症のような社会生活でサポートが必要な子供は子供保険の適応になります。

これらはごく一部の例です。さらに一つ一つ詳しく説明していきます。

健康保険について (全医療費予算の約60%)

国民はベーシック健康保険(全国民の加入が義務づけられている保険)に加入する事が義務であり、保険会社を自分で選びます。保険会社は健康状態に関わらずどの方でも加入する義務があります。健康保険のオプションも年齢、個人背景、健康状態に関わらず等しくオファーすることが義務づけられます。

ベーシック保険の内容は以下の通りです。

・一般的な医療ケアおよび専門医、助産師
・地域看護
・入院
・精神的医療ケア(入院も含む):3歳まで
・薬
・歯科医療:18歳まで
・理学療法士、作業療法士、言語療法士
・栄養サポート
・救急車
・慢性疾患のための理学療法

さらにオプションとして

・特別歯科費用
・代替療法
・眼鏡、コンタクト
・幅広く受けられるための理学療法、産後ケア、薬

健康保険の費用

・国民の健康保険に対する平均支払額:1200ユーロ(1年)
・平均自己負担額(2016年度):385ユーロ(1年)

*保険会社やオプションにより自己負担額が決められています。
*ここで言う自己負担額とは、もし病気などで健康保険を使う場合、385ユーロまで自己負担で、それ以降が全額保証されることを意味します。
*低所得者は自己負担額の免除が適応となる場合があります。

長期ケア保険について(2015年から導入)

精神的もしくは身体的に永久的ケア、もしくは24時間つきっきりのケアが必要な方が対象になります。この保険は国民健康保険であるため費用は国民の所得税から支払われています。

以下のサービスが受けられます。

・介護ケア施設、知的障害者のための住宅
・パーソナルケア:お風呂・着替え
・トイレ・食事の介助
・生活指導:生活をより良くするための指導、補助
・看護:医療ケア(注射、傷口のケアなど)
・Wlz(長期ケア)治療:病気や障害の回復のための治療
・治療施設への移動のための補助(車やタクシー)

長期ケア保険の費用

・国民の所得税の9.65%がこの長期ケア保険の費用にあてられています。
・患者一人当たりの年間上限支給額は33.589ユーロ(約396万円)

社会支援保険について(2015年から導入)

身体的・精神的・知的障害をもった方、老人が対象です。

以下のサービスが受けられます。

・生活指導
・住宅維持の援助
・介護者の援助
・ボランティア
・長期的な精神疾患を持った方のための守られた生活環境の場所
・家庭内暴力のための保育所、施設
・ホームレスのための施
・慢性疾患や病気のための金銭的補助

社会支援保険の費用

・市役所が自治体から一定額をもらい、その金額を必要な市民に当てます。

子供保険について (2015年から導入)

子供の成長・教育の問題、精神的問題・疾患をもった子供(18歳まで:場合によっては23歳まで延長可能)そしてその親が対象になります。どの子供たちも安全に健康に成長、自立し、その後に社会的に自分の力で生きていくことを目的としています。

子供保険の費用

・市役所が自治体から一定額をもらい、その金額を必要な子供に当てます。

オランダの医療制度のまとめ

オランダの医療制度のまとめ
オランダの保険の種類と実際にどのように保険としてカバーされているのかを紹介してきました。
オランダの医療制度として日本と違うところは、風邪を引いて医者にかかりたい時など、まずはかかりつけ医に受診してから深刻な問題であれば専門医に紹介されるというシステムがあるところです。このような違いや実際の医療制度の違いがありますので、日本と比較してみてもどちらの方にもメリット・デメリットがあるなと感じる部分もあります。

オランダの場合、私が調べた時(2017年)のオランダの医療費は年間、950億円かかっていました。そして2016年と比べてこの医療費が2.5%増加し、それに対して経済成長は1.6%増加してました。さらに国内総生産の約14%が医療費に当てられていて、日本だけでなくオランダも年々病気の人が増え、医療費が増えてきていることがわかります。これは世界的な問題でもあるとは思いますが、オランダは特に効率よく法律や制度を変えて時代に対応している国の一つでもあると思うので、今後の国としての政策が気になるところでもあります。

オランダに移住を考えている人もぜひこのような制度を理解してみてください。

参考ウェブサイト

1)https://www.zorgwijzer.nl/zorgverzekering-2018/stijging-zorgkosten
2)https://www.ziektekostenverzekering.nl/informatie/achtergrond/zorgstelsel-nederland
3)https://www.eiseverywhere.com/file_uploads/d264531c5bd30ce1e9d6d4a88ff96179_Het_Nederlandse_Zorgstelsel.pdf