#111 半月板損傷に対する【膝関節】整形外科的テストのまとめ

ALL ORTHOPEDIC TEST THERAPIST

前回の記事では、膝の靭帯損傷に対する整形外科的テストの紹介をしてきました。

トレーナーとしてスポーツ現場で働いていると、選手が膝を痛めて靭帯を損傷してしまったと経験することは必ずと言っていいほどあると思います。そのため、前回の記事である、膝の靭帯損傷に対する整形外科的テストがとても重要な知識と技術です。

他にも膝の怪我であれば、半月板損傷というものもあり症状によっては手術が必要なこともあるため、この半月板の損傷の有無を判断する整形外科的テストも靭帯損傷と同様にとても重要になります。

本記事では、靭帯損傷と合併症でも起こり得る【半月板損傷】の有無を調べるための整形外科的テストの方法を紹介していきます。

膝関節の靭帯損傷のための整形外科的テストについては下の記事をみてください。

 

目次

  • 膝関節の半月板損傷に対する整形外科的テスト
    – Apley’s Test
    – Mcmurray Test
    – Weight bearing McMurray Test
    – Joint Line Tenderness Palpation
    – Thessaly Test 5°/20°
  • 最後に

膝関節の半月板損傷に対する整形外科的テスト

膝関節の半月板損傷に対する整形外科的テスト
膝関節の靭帯損傷に対する整形外科的テストは、今回紹介する5つのテストです。

それでは、実際のテスト方法を見ていきましょう!

Apley’s Test (アプレーテスト)

感度: 13-16%
特異度:80-100%

テスト方法

被験者に伏臥位(うつ伏せ)になってもらい、セラピストはテストする側の膝を90°にします。それから、踵を把持し足を外旋位にもっていき、脛骨に対して垂直方向に上から下に圧力を加えていきます。これを内旋位でも同様に行なっていきます。

テストの理論

膝に対して、圧力を加えていくことで、半月板に対して物理的な圧力が加わります。そして膝関節を外旋・内旋位にして、圧力を加えていくことで、さらに半月板に対して圧力が加わっていきます。

ポジティブテスト(陽性反応)

半月板に痛みが圧力を加えた時にそうかした場合にテストはポジティブとなります。

Mcmurray Test (マックマレーテスト)

感度: 10-71%
特異度:48-100%

テスト方法

被験者に背臥位(仰向け)で横になってもらい、セラピストはテストする側の膝関節をできる限り曲げてもらい、足とお尻を近づけていきます。片方の手は踵を把持し、反対の手は大腿骨と脛骨の間の関節の隙間あたりを把持します。踵を把持している手で足を外旋方向にもっていき、膝に屈曲・回旋ストレスを加えていきます。そしてその後、屈曲・回旋ストレスを内旋方向にも加えていきます。

テストの理論

半月板に傷があり緩い部分がある場合、回旋ストレスによって内側または外側の半月板により多くの圧力を与えます。 その緩い部分の半月板の上で大腿骨を滑らせると、痛みが発生します。
膝を外旋させると、内側半月板に圧力がかかり、内旋させると、外側半月板に圧力がかかります。

ポジティブテスト(陽性反応)

怪我をしたときと同じような痛みの感覚がある場合、テストはポジティブです。 テスト中にカチッという音がすることもあります。

Weight bearing McMurray Test (荷重マックマレーテスト)

感度: 64% (外側半月板) / 67% (内側半月板)
特異度:90% (外側半月板) / 81% (内側半月板)

怪我直後の急性期やスクワットで痛みが出る場合、可動域に制限がある場合はこのテストはできないことに注意が必要です。
また、テストの信頼性としては、Mcmurray Test や次に紹介するJoint Line Tenderness Palpation よりかは高いとされています。

テスト方法

両足の間を30-40cmあけた状態で、膝伸展位で立ってもらいます。内側半月板のテストをする場合は、脚を最大外旋位にした状態で下がれるところまでスクワットをしてもらいます。外惻半月板のテストをする場合は、脚を最大内旋位にした状態で下がれるところまでスクワットをしてもらいます。スクワットが難しい場合は、手によるサポートをすることも可能です。

テストの理論

脚を最大外旋位や最大内旋位のスクワットにより、半月板にストレスがかかります。ほとんどの場合、膝関節が90°になったあたりで、痛みを訴えることが多いですが、前方の半月板に損傷がある場合はより浅いスクワットで、後方の半月板に損傷がある場合はより深いスクワットで痛みを訴えることがあります。テストの正確性として、変形性膝関節症や膝蓋大腿関節症の場合低下し、前十字靭帯損傷や関節に水が溜まっている場合は増加します。

ポジティブテスト(陽性反応)

スクワット中に痛みが出る場合、テストはポジティブになります。 また、スクワット中にカチッという音がすることもあり、この場合もポジティブになります。

Joint Line Tenderness Palpation (ジョイントラインテンダーネスパルパーション)

感度: 83%
特異度:83%

テスト方法

背臥位(仰向け)で横になってもらい、検査側の脚の膝関節を90°にします。大腿骨と脛骨の前方の関節の間を触診していくのですが、脛骨を内旋させた位置で内側の半月板、脛骨を外旋させた位置で外側の半月板を触診していきます。

テストの理論

Joint Line Tenderness Palpationでは、触診により痛みの有無を確認し、半月板の損傷の有無を判断していきます。脛骨を内旋させた位置では内側の半月板が関節の隙間の内側前方で触診しやすく、脛骨を外旋させた位置では外側の半月板が関節の隙間の外側前方で触診しやすくなります。

ポジティブテスト(陽性反応)

内側と外惻の半月板を触診した時に痛みが出れば、痛みが出た方の半月板に対して、このテストはポジティブになります。

Thessaly Test 5°/20°(テサリーテスト 5°/20°)

テサリーテスト 5°
感度: 81-88%
特異度:71-96%
テサリーテスト 20°
感度: 31-91%
特異度:40-98%

テスト方法

被験者は怪我していない側を軸足に片足で立ちます。(Thessaly Test 5°の場合は膝関節屈曲位5°/ Thessaly Test 20°の場合は膝関節屈曲位20°)
セラピストは、被験者の腕を持ってサポートします。 次に、被験者は体と膝の両方を同時に内側と外側に回していきます。これを3回繰り返します。 怪我をしている脚の方も同じことを行います。

テストの理論

半月板損傷のほとんどの被験者は、損傷時に経験した鋭い痛みと同様の痛みをこのテスト中にも経験します。 Thessaly Test は半月板を汚した時と同様のメニスカスによって負荷をかけるため、テスト中に怪我の時と同じ症状を経験します。

ポジティブテスト(陽性反応)

半月板損傷が疑われる被験者は、膝の内側または外側の関節周りがブロックされているような感覚や痛みを訴えます。

最後に

膝関節の半月板に対する検査法
以上が膝関節の半月板に対する整形外科的テストになります。
前回の記事での靭帯の損傷の有無と今回の半月板の損傷の有無を知ることで膝を痛めた時に膝の状態をより明確に知ることができるようになります。

トレーナーとして現場で働くと、このような半月板の損傷の有無を検査する機会は必ず来るので、ぜひ理解して実践できるようにしてみてください。

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