#125 温熱療法と冷却療法の基本的な知識

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関節炎や筋肉の緊張、細胞の炎症まで、さまざまな体の状態に対して、温熱療法や冷却療法を使って治療していきます。 そして、これらはとても効果的であり、簡単に行うことが可能です。

一般的な原則としては、炎症や腫れ、急性の怪我や痛みには冷却療法行い、 筋肉痛やこわばり温熱療法を行います。

しかし、よく議論されがちなのが、どのような状況で患部を温めるのか、または冷やすのかということで、 様々なセオリーが最近ではあります。また、1回の治療で温熱と冷却を交互に行う温冷療法もあります。

本記事では、基本的な部分のこれらの治療の効果や種類、禁忌について紹介していきます。

目次

  1. 温熱療法
    ・効果
    ・種類
    ・禁忌
  2. 冷却療法
    ・効果
    ・種類
    ・禁忌
  3. リスク管理
    ・温熱療法のリスク
    ・冷却療法のリスク
  4. まとめ

1.温熱療法

温熱療法

効果

温熱療法は、温度上昇による特定の領域への循環と血流を改善することを目的に行います。患部の温度が少しでも上げると、不快感を和らぎ、筋肉の柔軟性を高めることができます。温熱療法は、強張った筋肉をリラックスさせて、損傷した組織を治癒することができます。

温熱療法は、長時間行うと幹部の凍傷が起きてしまう冷却療法とは違って、長時間行うことが可能で、効果的でもあります。

わずかなこわばりや筋肉の緊張は、約15〜20分の温熱療法を行うと良いとされています。中等度から重度の痛みの場合は、合計30分から2時間の温浴のような温熱療法を行うことも可能で、効果的とされています。

種類

温熱療法には、乾熱と湿熱の2種類があります。どちらのタイプの温熱療法も、「熱い」ではなく「暖かい」を理想的な温度として設定する必要があります。

乾熱は主に、温湿布、乾熱パック、さらにはサウナなどが含まれ、簡単に適用することができます。

湿熱は主に、蒸しタオル、湿熱パック、または温浴などが含まれます。湿熱はわずかに乾熱よりも効果的で、より短い時間で幹部を温めることも可能であるとされています。

また、超音波療法も温熱療法の一部として含まれ、腱炎の痛みなど使用されたりします。

温熱療法を行う場合、局所、または全身を温めることを選択できます。局所に対しての温熱療法は、特定の強張った筋肉などの小さな痛みの領域に適しています。そのため、怪我を局所的に治療したいの場合は、温熱パックや湯たんぽのようなもので行います。全身に対しての温熱治療には、サウナや温浴などを行うことができます。

禁忌

温熱療法が禁忌になる場合があります。患部が打撲または腫れである場合は、冷却療法を行う方が良いとされています。また温熱療法は傷口が開いている部分には原則的に行いません。

特定の疾患を持った方々は、温熱療法による火傷または合併症のリスクが高いため、禁忌としています。特定の疾患は以下の通りです。

・糖尿
・皮膚炎
・血管疾患
・深部静脈血栓症
・多発性硬化症(MS)

心臓病または高血圧の疾患がある場合は、温熱療法を行う前に医師に相談する必要があります。そして妊娠中の方も、サウナや湯船を使用する前に医師にご相談する必要があります。

2.冷却療法

冷却療法

効果

冷却療法は特定の領域への血流を減らすことを目的とし、特に関節や腱の周りの痛みを引き起こす炎症や腫れを減少させる働きをします。 また、一時的に神経活動を低下させ、痛みを和らげることで体を一時的にリラックスさせる効果もあります。

自宅で治療する場合は、タオルなどで包んだアイスパックや氷を入れたビニール袋を患部に当てて行えます。 アイスパックや氷、保冷剤などは直接皮膚に当てないようにする必要があります。直接皮膚に当ててしまうと皮膚の組織に火傷を負わせてしまう恐れがあります。 怪我した後、亜急性期には、できるだけ早く冷却療法を行うと良いとされています。

冷却療法の行う時間は、1日に数回の短時間で行うようにします。 約10〜15分で、神経、組織、皮膚の凍傷を防ぐために、一度に20分以内の冷却療法を行う必要があります。

種類

患部に冷却療法を行う方法はいくつかあります。 いくつかの方法は以下の通りです。

・氷または保冷剤
・冷却スプレー
・アイスマッサージ
・アイスバス
・クライオセラピー

最近では、サッカークラブなどで練習後のリカバリーにクライオセラピーを行うところも増えています。クライオセラピーは特別な冷却室が必要なため施設により行えません。その場合は、効果は違いますがアイスバスで代替えする場合もあります。

禁忌

皮膚の感覚を感じることができない感覚障害を持った方は、損傷があったかどうかを感じることができない可能性があるため、冷却療法を注意して行わなければなりません。 糖尿病などの疾患は感覚障害を持つ場合もあり、神経損傷や感度の低下を引き起こす可能性があります。

筋肉や関節のこわばりがあったり、血行が悪い場合は低冷却療法を行わない方がいいとされています。

一方、温熱と冷却を両方を組み合わせる場合は、血流の改善やリラックス効果もあるので、推奨することができます。

3.リスク管理

リスク管理

温熱療法のリスク

温熱療法は、「熱い」温度ではなく「暖かい」温度で行う必要があります。 当然ながら、熱すぎると皮膚をやけどする可能性があります。感染症がある場合、温熱療法が感染拡大のリスクを高める可能性があります。 局所部位に直接温熱療法を行う場合は、一度に20分以上は行わないようにします。また、温熱療法で幹部の腫れが増加した場合は、すぐに中止することが必要です。

冷却療法のリスク

気をつけなければいけないことは、冷却療法を長時間行うことや直接皮膚に冷却剤を当てることです。皮膚や他の組織、または神経に損傷を与えてしまう可能性があります。心血管疾患または心臓病がある場合は、冷却療法を行う前に医師に相談する必要があります。

4.まとめ

どのような状況で、温熱療法や冷却療法を行えばいいのかを知っておくことは、治療効果をより高めてくれます。例えば、関節炎の患者のような関節のこわばりには温熱療法を使用し、腫れや急性の痛みには冷却療法を使用することが原則として挙げられます。状況によっては温熱と冷却療法を組み合わせて行った方が効果的な場合もあります。

どちらかの治療で痛みや不快感が悪化した場合は、継続的に行わず中止することが大切です。 場合によっては、自分のフィーリングによって、患部を温めるのか、それとも冷やすのかを選択することによって、効果的な結果を生む可能性もあります。

 

参考文献

Petrofsky J, Berk L, Bains G, et al. Moist heat or dry heat for delayed onset muscle soreness. J Clin Med Res. 2013;5(6):416-425. doi:10.4021/jocmr1521w