#130 断食と食事の頻度に関する7つの神話

ALL CONDITIONING DIET/ NUTRITION

インターミッテントファスティングなどで断食をしたり、朝食だけを抜いた半日断食をしたりと断食は一般的にも広がってきています。また、酵素を使った3日間の断食なども一度は行ったことがある人もいるかと思います。実際にこのような断食は、健康を促進するために推奨されていますし、良い結果も出ています。

一方、特に運動を多くしている人の中では、食事の頻度を増やすことでエネルギー源を確保するような食事法をとっている人や脳や体が疲れないように1日に5回食事を取るようにしている人も増えてきています。しかし、この食事の頻度を増やすことでの健康との関連性は、すべてが本当のことではない可能性があります。

本記事では、断食と食事の頻度でよく議論されることについての答えとなりうるものを論文を元にお伝えしていきます。

目次

  • 断食と食事の頻度に関する8つの神話
    1.朝食を抜くと太る
    2.頻繁に食べることで新陳代謝を向上でき、痩せられる
    3.頻繁に食べることで空腹感を減らせる
    4.脳は食事でのブドウ糖を定期的に必要とする
    5.頻繁に食べることは健康に良い
    6.断食は体を飢餓状態し代謝を下げる
    7.食事ごとに特定の量のタンパク質しか摂取できない
  • まとめ

断食と食事の頻度に関する8つの神話

断食と食事の頻度に関する8つの神話

1.朝食を抜くと太る

これはよく言われることではありますが、朝食がその日の最も重要な食事であるということです。

多くの人は一般的に、朝食を抜くことで空腹を引き起こし、代謝を下げ、体重増加につながることや脳や体の機能が低下すること信じています。

肥満の成人283人を対象とした16週間の研究では、朝食を食べた人と食べなかった人との間に体重の違いは見られなかったと報告しています。しかし、他のいくつかの研究では、長期的に体重が減る人は朝食を食べる傾向があるということを示唆しています。

朝食を食べることでの体重での変化には個人差がある可能性があり、人によっては朝食を食べた方が痩せやすい可能性もあることが考えられます。また、つまり、朝食がその日の最も重要な食事であるということは、ある一定数の人にとっては当てはまることではあるということが言えそうです。

朝食に何を食べるかによってもこのような結果は違ってくると考えられるため考慮が必要です。

若い年齢を対象にした研究では、朝食を食べることで子供や10代の若者は、学校での成績が良くなる傾向があることが言われており、若い年齢の場合には朝食を取ることが重要であることが考えられます。

以上のように、対象となる人や年齢によって朝食を取ることでのメリットが変わってくるため、一部の人にとって朝食を取ることは有益ですが、人によっては悪影響なしに朝食を食べなくてもいいことが考えられます。

2.頻繁に食べることで新陳代謝を向上でき、痩せられる

多くの人は、頻繁に食事を摂取することで自分の代謝を高め、1日に多くのカロリーを燃焼させることができると信じています。

人の体は、食べ物を消化する時にエネルギーを使うため、カロリーを燃焼します。しかし、このカロリー消費は総カロリー摂取量の約10%であるとされ、食事の食べる頻度とは関係ないということが言われています。

例えば、500カロリーの食事を6回食べるのと、1,000カロリーの食事を3回食べるのとでは両方とも同じく約300カロリーを消費になります。

多くの研究でも、食事の頻度の増減が総消費カロリーに影響を与えないことを示しています。

つまり、より頻繁に食べることは代謝を向上させるわけではないので、体重減少にも影響はありません。

実際、肥満の成人16人を対象とした研究では、1日3食と6食の効果を比較し、体重、脂肪の減少、食欲に違いは見られなかったと報告しています。

3.頻繁に食べることで空腹感を減らせる

ある特定の人は、頻繁に食べることで空腹感を減らせると信じています。

しかし、このことについては疑う必要があるかもしれません。

ある研究では、より頻繁な食事を食べることで空腹感の減少につながることを示唆していますが、他の研究では効果がないか、空腹レベルが増加することを示唆しています。

1日に3回の高タンパク質の食事と6回の高タンパク食を食べることを比較した研究では、3回の食事をした方が空腹感がより少なかったことが見られたと報告しています。

これらの研究の方向はありますが、個人によって異なる場合もあるため自ら判断してどちらが自分に合っているかをテストする必要があります。

ここで勘違いして欲しくないのは、食事の時に砂糖系の甘い食べ物や炭水化物が多い食べ物はより早く空腹感を与えるため、何を食べるかということに考慮が必要です。

4.脳は食事でのブドウ糖を定期的に必要とする

砂糖などの炭水化物を数時間おきに食べないと、脳が機能しなくなると言うことを信じている人がいます。これは朝食を抜くと頭が働かないという人と同じ考えです。

この考えは、脳が機能するためにブドウ糖が十分にあることが大切であるということに基づいて言われています。しかし、人の体は糖新生と呼ばれるプロセスによって脳に必要なブドウ糖を簡単に体内で生成することができます。

さらに、長期の絶食や飢餓、炭水化物制限などのダイエットでも、人の体は脂質からケトン体を生成しエネルギーに変えることができます。このケトン体によるエネルギー供給は、脳の一部に栄養を与え、ブドウ糖の必要な量を大幅に減らします。

ここで気をつけなければならないのは、普段から多くの炭水化物を頻繁に摂取している人が、急に炭水化物制限や断食などをしてしまい炭水化物の摂取を減らしてしまうと、体が対応できずに倦怠感や震えを感じる人が出てきてしまうことです。このような場合は、徐々に炭水化物の摂取量を減らしていく必要があります。そうすることで、頻繁に炭水化物を摂取しなくても疲れにくい脳を手に入れることができます。

5.頻繁に食べることは健康に良い

ある特定の人は、1日に5回のように頻繁に食事をすることがより健康的で、パワフルな生活を送れると信じています。

いくつかの研究では、間食や頻繁な食事が健康を害し、病気のリスクを高める可能性があることを示唆しています。例えば、ある研究では高カロリーと頻繁に行う食事が肝臓脂肪の大幅な増加を引き起こし肝臓疾患のリスクを高めることを示しています。さらに、いくつかの研究でも、より頻繁に食事を行う人は結腸・直腸癌のリスクがはるかに高いことを示しています。

反対に、断食などの食事回数を減らすことは、健康にいいことが言われてます。

短期間の絶食は、オートファジーと呼ばれる細胞修復プロセスを誘発し細胞が古くて機能不全のタンパク質をエネルギーとして使用されます。オートファジーは、老化や癌、そしてアルツハイマー病などの病態から保護するのに役立つ可能性があるとされています。このようなことから、絶食は代謝などの健康にさまざまな利点があることが考えられます。

6.断食は体を飢餓状態し代謝を下げる

断食に対する一般的言われるデメリットとして、体を飢餓状態にし代謝を下げ、脂肪を燃焼するのを防ぐということです。

断食が代謝を下げ消費カロリーの大幅な削減を引き起こすという証拠はないのが現状です。

反対に、実際には短期間の断食は代謝率を高める可能性があるとも言われています。これは断食による飢餓状態により、ノルエピネフリンの血中濃度が急激に上昇するためです。ノルエピネフリンは代謝を刺激し、脂肪細胞に体脂肪を分解するように働くとされています。

ある研究によると、最大48時間の絶食は、代謝を3.6〜14%高めることができると示されています。しかし、断食を長期的にすると、効果が逆転し、代謝が低下する可能性があるとも言われています。ですが、ある研究では22日間の絶食による断食をしても、代謝は低下せず、平均して4%の脂肪量の減少が見られましたと報告しており、この長期的な断食による代謝の低下については更なる研究の余地があります。

7.食事ごとに特定の量のタンパク質しか摂取できない

筋トレなどをするある特定の人は、食事ごとに30グラムのタンパク質しか消化できず、筋肉の増加を最大限目指すためには2〜3時間ごとに食事をするべきであると信じています。

しかし、これは科学的根拠によって示されていなく、ある研究によると、タンパク質をより頻繁に摂取しても筋肉量に影響はないという結果も出ています。

このタンパク質の摂取で重要なことは、タンパク質の摂取の総量であり、食事の頻度とは関係ありません。

まとめ

  • 朝食は多くの人にメリットをもたらす可能性がありますが、健康にとって不可欠ではありません。また、個人差もあります。子供の場合は朝食を摂取するべきであることが考えられます。
  • 一般に信じられていることとは反対で、少量の食事をより頻繁に食べることで代謝を増加させることはできません。
  • より頻繁に食べることで、空腹感やカロリー摂取量が減少するという根拠はなく、むしろ、いくつかの研究は、より頻繁な食事が空腹感を増加させることを示しています。
  • 脳にエネルギーを供給するために食事から炭水化物を摂取しなくてもブドウ糖を体内で生産することができます。
  • 間食は本質的に健康に良いというのは間違いで、反対に時々断食することは健康にいいとされています。
  • 短期間の断食は代謝を増加させます。
  • 食事ごとに30グラム以上のタンパク質を吸収することができるため、 2〜3時間ごとにタンパク質を摂取する必要はありません。

以上のように、断食や頻度の多い食事について一般的に信じられているものが実際には個人によって違ったり、あまり効果が期待できなかったり、逆効果になることがあります。

一番ベストなのは、自分の体を知って自分に合った食事の方法を見つけることであるため、これらの情報を参考に自分の体に目を向けてみてください。

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