#172【正しく体を使う】股関節の深部の筋肉を使えるようにする方法

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スポーツ選手のトレーニングにおいて、従来のウエイトトレーニングだけではなく最近では、”体軸“や”骨で立つ“、”脱力をする”などの言葉が使われるようになり、正しく体を使っていくことの重要性が言われ始めてきています。これらの考え方はどちらかというと古武術であったり、ダンスのような体の内観が必要な身体操作を得意とする人たちから良く発信されてきたと思われます。

正しく体を使う重要性のニーズが近年増えてきているその背景として、便利になった現代社会による身体の衰えがあることが考えられます。昔は、山や海で遊んだりと自然とともに生活してきていましたが、今は座ることが多く体を幅広く使う機会が減ってきています。そして、この身体の衰えというのが、スポーツではパフォーマンスの低下や怪我の発生につながってきていることは確かです。

このようなニーズや背景があるからこそ、本記事では体を正しく使うことについて、股関節を軸に自分の考えを書いていきたいと思います。

目次

  1. 股関節の深部の筋肉を使えるようにする
    ・股関節の深部の筋肉とは
    ・股関節の内旋で深部の筋肉を刺激する
    ・骨盤を前傾させて深部の筋肉を刺激する
  2. 股関節の深部の筋肉が使えないデメリット
    ・膝を痛めやすい
    ・腰を痛めやすい
    ・ハムストリングスの怪我をしやすい
  3. まとめ

1.股関節の深部の筋肉を使えるようにする

股関節の深部の筋肉を使えるようにする
股関節を正しく使うためには、股関節周りにある深部の筋肉がしっかりと活性されて動きに伴って使われている必要があります。そのためには、正しい関節の位置であったり、関節の可動域がとても重要になってきます。

まずは、股関節の深部の筋肉とは具体的に何か、そして、その筋肉を刺激して使えるようにするためにはどういったことをすればいいのかについて書いていきます。

股関節の深部の筋肉とは

股関節の周囲にある深部の筋肉とは、恥骨筋、短・長内転筋、大内転筋、腸骨筋のことを指します。

恥骨筋、薄筋、短・長内転筋、小・大内転筋はまとめて内転筋群と呼ばれている筋肉で、一般的には内転筋と良く言われています。

腸骨筋とは骨盤の内側から小転子という股関節の付け根に位置する筋肉で、大腰筋とともに腸腰筋と呼ばれている筋肉になります。

深部の筋肉である内転筋群と腸骨筋を刺激して使えるようにするためには、先ほど言ったように正しい関節の位置と可動域が重要になります。

内転筋についての記事↓↓↓

股関節の内旋で深部の筋肉を刺激する

まず一つ目は、股関節がしっかりと内旋できるかどうかというのが大切になってきます。この股関節の内旋の可動域あって関節が正しい位置にないと、股関節の深部の筋肉にスイッチが入りにくくなります。

深部の筋肉にスイッチがはいって使われているのかどうかの確認として以下の方法があります。

股関節内旋による深部筋のチェック方法

まず肩幅くらいの位置に両方の足を置きます。そして、片方の足に7:3になるくらい体重を乗せていき、股関節を中心に股関節が内旋するように骨盤をその股関節側に回していきます。これ以上骨盤を回せないところまで股関節の可動域が来た時点の姿勢で、腿の内側にある内転筋が収縮して感じられているのかを確認します。この時に腿の内側が意識できてればいいですが、できない場合は、股関節の深部の筋肉にスイッチが入っていなくうまく使えてないことになります。

この股関節の深部の筋肉がうまく使えていない原因としては、股関節の内旋の可動域が足りていなく、深部の筋肉が使えるような関節の位置にないことが考えられます。また、股関節を上記のように内旋していく時に骨盤がしっかりと前傾していることも実は大切です。

骨盤を前傾させて深部の筋肉を刺激する

2つ目としては、骨盤の前傾がスムーズにできているのかが大切になります。股関節の内旋と同様に骨盤の前傾の可動域あって関節が正しい位置にないと、股関節の深部の筋肉にスイッチが入りにくくなります。

骨盤前傾による深部筋のチェック方法

ランジのような姿勢で、両足を前後に開きます。そして前方に出した足に7:3になるように重心を乗せていきます。次に鼠蹊部を挟み込むようにして股関節を中心に上半身を前に倒して骨盤の前傾を促していきます。この時に上半身をまっすぐにしたまま上半身を前に倒していくと骨盤の前傾が起こりやすくなります。上半身を前に倒していき、これ以上倒せないところまでき時点の姿勢で腿の内側にある内転筋が収縮して感じられているのかを確認します。この時に腿の内側が意識できてればいいですが、できない場合は、股関節の深部の筋肉にスイッチが入っていなく、うまく使えてないことになります。

この股関節の深部の筋肉がうまく使えていない原因としては、骨盤の前傾がスムーズにできいなく、深部の筋肉が使えるような関節の位置にないことが考えられます。また、骨盤を前傾した時に同時に股関節の内旋の動きも伴っていないと腿の内側の意識ができなくなります。

以上のように2つのチェック方法で股関節の深部の筋肉が使えているのかどうかを確認してみてください。うまく使えている場合は、スクワットやランジなどのトレーニング、またはジャンプや走りのトレーニングの時にもこの股関節の深部の筋肉が動きの中で使えるようにしていくと、パフォーマンスが上がったり、怪我をしにくい体になります。

2.股関節の深部の筋肉が使えないデメリット

股関節の深部の筋肉が使えないと代償として、太腿の前や外側、裏側の筋肉への負担が増えてしまい、これからいかに説明するようなことが起きる可能性を高めてしまいます。

膝を痛めやすい

深部の筋肉が使えないと腿の前の筋肉である大腿四頭筋を過剰に使ってしまい、膝の前面を痛めるリスクを高めます。また、走ったりする動作で、股関節が安定しないがために、膝で負荷を受けてしまい、膝の靭帯の怪我につながるようなこともあります。

腰を痛めやすい

大腿四頭筋のなかの大腿直筋という筋肉や大腿筋膜張筋という骨盤についている筋肉が深部の筋肉が使えないことで、過剰に働き、骨盤の過度な前傾を強めてしまいます。骨盤が過度に前傾すると体幹部の筋肉のバランスが崩れて、腰の筋肉を過剰に使うようなことになり、最終的に腰を痛めるようなリスクが高まってしまいます。

ハムストリングスの怪我をしやすい

股関節の深部の筋肉である内転筋群がうまく機能しないと、ジャンプする動作や走る動作で股関節を伸展する動きが伴った時に、臀部の大臀筋という筋肉がうまく使えずハムストリングスが過剰に働いてしまいます。そして、スポーツの怪我で良く起こるようなハムストリングスの筋損傷の怪我を起こしやすくなったりしてしまいます。

3.まとめ

股関節の深部の筋肉が使えないデメリット
今回の記事では、股関節を正しく使うために必要な深部の筋肉について、その筋肉のチェック方法や使えないことでのデメリットを解説してきました。

この深部の筋肉は、最近の生活様式だとどんどん使えなくなってくる筋肉でもあるので、意識的に刺激を入れて、活性化していく必要があります。

多くのスポーツ選手がこの深部の筋肉がうまく機能しない状態でトレーニングを積んでいることもあり、怪我をして試合ではなくリハビリに時間を費やすようなことが起きてしまっているのも現状の話です。

細かい体の使い方と違いであったり、意識の違いではありますが、非常に大事な要素になりますので、是非参考にして取り組んでみてください。