#159 食べ物をよく噛むことでのメリット

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食べ物の消化・吸収を考えた場合、主に胃ではじめに分解し腸で吸収すると考えるかもしれませんが、食べ物の消化・吸収のプロセスは、口の中で噛むことから始まります。食べ物を口の中でよく噛むことで、消化しやすいように分解されるだけでなく、口の中で唾液に混ざり咀嚼することで栄養素を最大限に抽出することができます。

本記事では、この食べ物の消化・吸収のプロセスに必要な咀嚼についてのメリットや咀嚼しないことでのデメリットなどを紹介していきたいと思います。

目次

  • 食べ物を噛む回数
  • 噛むことのメリット
  • 噛まないことのデメリット
  • 消化・吸収を助ける他のアドバイス
  • まとめ

食べ物を噛む回数

咀嚼の元々の目的は、食べ物を分解して消化吸収をしやすくすることです。
一般的なアドバイスの1つとして、食べ物を口に入れ、飲み込む前に約30〜40回食べ物を噛むことが挙げられます。柔らかくて水分が多い食品を咀嚼する時には、噛む回数が少なく、硬い水分の少ない食べ物の場合は噛む回数を多くする必要があります。

約30〜40回食べ物を噛むことは、多くの食べ物に当てはまる平均的な回数として挙げられます。ステーキなど、噛むのが難しい食品では、一口あたり最大40回の咀嚼が必要になる場合があります。

噛むことのメリット

食べ物を噛まずに速く食べるほど、より多くの食物を食べる傾向があります。反対にゆっくりとしたペースで何度も食べ物を噛むと、食べ物を食べる量を全体的に減らすことができます。

ある研究で、30人の健康な女性がさまざまなペースで食事を摂りました。ゆっくり食べた女性は、速く食べた女性よりもかなり少ない量の食べ物を食べましたが、より多くの満腹感を感じたと報告しています。別の研究では、食事中によく噛むことで、その食事後の時間にキャンディーなどのスナックを食べたいと思うことが少なくなったと報告しています。以上のように、よく噛むことで食べる量を減らすことによる体重管理ができるようになります。

他にも多くの咀嚼は、食べ物から得られる栄養素の量を増やすことができるとされています。ある研究では、アーモンドを25〜40回噛むと、空腹感が抑えられるだけでなく、アーモンドからの栄養素を吸収する率が高まることを報告しています。

噛まないことのデメリット

口にものを入れてから飲み込むまでに食べ物を十分に噛まない人は、消化器系の問題を発症することが多くなります。これにより、次のような消化器系の問題を引き起こす可能性があります。

・膨満感
・下痢
・胸焼け
・逆流性食道炎
・痙攣
・吐き気
・頭痛
・皮膚の問題
・栄養不足
・消化不良
・ガスが溜まる

消化・吸収を助ける他のアドバイス

食事をする時に幾つかのことを気をつけることで、消化吸収をスムーズにして胃腸への負担を減らし、栄養をより多く取り込むことができるようになります。以下に、消化・吸収を助ける他のアドバイスを紹介します。

  • 食事の前30分までには水を飲むこと:食事中に多くの水分を飲むと消化を妨害してしまう恐れがあります。また、食後にお茶などを飲むことで消化の効率を高めてくれます。
  • 食事の直後は果物や甘いデザートを避ける:糖分の多い食品はすぐに消化され、ガスや膨満感を引き起こす可能性があります。
  • 食後の激しい運動は避ける:消化するためにはエネルギーが必要であり、運動することでそのエネルギーを消化に回すことができなくなります。
  • ザワークラウトやピクルスなどの発酵食品をよく食べる:発酵食品は体が必須栄養素を吸収するのを助けるのに必要な消化酵素と菌を含んでいます。発酵食品を食べることで、過敏性腸症候群やグルテン不耐性とアレルギー、喘息の症状などを軽減できる可能性があります。
  • 酵素と食物繊維を多く含む野菜を食べる:酵素と食物繊維は消化をよく助けてくれます。
  • 食後に散歩をする:食後に散歩をすることにより、適度な刺激が胃腸に伝わり、消化が促進されます。

まとめ

よく噛んで食べる
消化のプロセスは食べ物が口に入った時から始まります。食事をするときは、食べ物を十分に噛むことで、消化・吸収をスムーズにして胃腸の負担を減らし、より多くの栄養素を吸収できるようになります。

約30〜40回噛むことに集中することで、普段よりもゆっくり食べることができます。このことにより、消化を改善するだけでなく、食べすぎることを防ぎ、より少ない食事量で多くの満腹感を得られることになります。そして、食事質の向上につなげることができます。

参考文献

1)Bridget A Cassady, James H Hollis, Angie D Fulford, Robert V Considine, Richard D Mattes, Mastication of almonds: effects of lipid bioaccessibility, appetite, and hormone response, The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 89, Issue 3, March 2009, Pages 794–800,

2)Suzanne Higgs, Alison Jones,
Prolonged chewing at lunch decreases later snack intake,
Appetite, Volume 62, 2013, Pages 91-95,