#158 チーティングを使ったトレーニングのススメ
トレーニングにおいて、チーティングは良くないと聞くこともあるかと思います。これは、狙った筋肉をしっかりと鍛えることを目的とした場合は確かにそうですが、実際のスポーツのパフォーマンスの向上を狙った場合には、いかにチーティングをしてその動かす物体(重量)を楽に体の負担を少なくして、速くそして力強く動かせるかがキーポイントになります。
本記事では、チーティングがトレーニングの目的によっては効果的な方法であるということを紹介していきます。
目次
- チーティングのススメ
- 具体的な例
- 間違ったチーティングのやり方
- まとめ
チーティングのススメ
チーティングとはチートをする(嘘をつく)という言葉からきています。本来であれば、チーティングをすることはトレーニングにおいてマイナスなイメージがあるかもしれません。もちろんチートの仕方によっては、体を壊してしまったり、実際のトレーニング効果を生まなくしてしまうこともあります。
しかし、ここでいうチーティングを使ったトレーニングとは、物質(重さ)を体全体を使っていかに少ない力でより早く力そして、強く動かすかということにフォーカスした方法のことを指します。
このチーティングのテクニックは、スポーツパフォーマンスを向上させるためにもとても重要なトレーニング方法になります。なぜかというとチーティングを使ってトレーニングすることで、体の使い方として、自分の体や物体を効率的に動かすことを覚えることができるからです。体の負担が減り、少ないエネルギーで多くの力強い動きを出すことができるため、スポーツパフォーマンスを長時間高いままにキープすることができます。
例えば、サッカーの後半の残り少ない疲労が溜まっている時間帯でも、効率の良い体の使い方を習得していれば、強烈なスプリントをすることができます。このフィジカルの差が時には勝敗を決める要因になることも多く存在するのです。また、柔道においても4分間の勝負の中で、いかに全試合で疲れを溜めにパフォーマンスをキープできるのかによって勝敗も変わってきます。
そのため、ただ単にウエイトトレーニングをして体をデカくしたり強くしたりすることがスポーツにおいては大切なのではなく、この効率良く体を動かす練習というのがとても大切になってくるのです。
そして、この効率良く体を動かす体の使い方を習得するための一つの方法として、チーティングがあるということです。
具体的な例
同じフリーウエイトのトレーニングをしても、10回のショルダープレスで三角筋がパンパンに疲労する人と腹部、背部、脚の力など体全体の動きを使ってチートしながら持ち上げるのでは、運動パフォーマンスを考えた場合には後者の方が効率の良い動きになります。
ワイドスクワットで、ケトルベルを使ったスイングのトレーグでも想像してもらうとわかるのですが、ただ単に腕の力を使ってケトルベルを前後にスイングさせるのではなく、脚の伸展運動の勢いを利用してケトルベルをスイングさせるのでは、使う筋肉も違いますし、運動効率も変わってきます。そのため、長時間、高いパフォーマンスでこの動作を続けられるのは後者の方になります。これもある意味チーティングを使ってケトルベルをスイングしてることになります。
具体的にこのチーティングがどのように動作に影響するのかというのは、パンチ動作やジャンプ動作を考えた場合にもわかります。
パンチ動作では、腕だけを使ってパンチする場合としっかりと腰を入れて地面からの反力を使って体全体でパンチするのではパンチの重さが変わってきます。チーティングを使ったトレーニングで習得できるような体の使い方は、このピンチ動作にも応用することができます。
ジャンプ動作では、腕を使って高くジャンプする場合と、腕を全く使わずに高くジャンプする場合とでは、ジャンプの高さではもちろんのことですが、腕を使った方が高くなります。ジャンプ動作で腕を使うことは、腕の動きにより推進方向へ体の重心を移動させて、足で地面を蹴る時の脚への負担を減らすことで、より強く高いジャンプをすることを可能にします。そのため、ジャンプ動作を改善したい場合は、脚の筋力をつけることだけでなく、腕を使っていかに体を浮かせることができるのかという腕の使い方をよくすることがとても大切です。このジャンプ動作では、脚の力を腕に伝えるのではなく、反対に腕の力を脚に伝えることになります。
間違ったチーティングのやり方
間違ったチーティングのやり方として姿勢が崩れた状態で勢いだけをつけて行う方法です。これは、体を壊すだけなく、運動効率も悪くする可能性があります。
立位でのショルダープレスを例として挙げると、このトレーニング時にチーティングを使って体全体でダンベルを持ち上げていきます。この時に骨盤が後傾し寝ていたり、腰を反りすぎていたりする場合に姿勢が崩れているといえます。このような姿勢の状態で、チーティングのテクニックを使って勢いよくバーベルやダンベルなどを持ち上げると姿勢が崩れている体の部位で、連動が途切れてしまい脚からの力を腕まで伝えることがうまくできなくなってしまいます。また、連動が止まっている体の部位に負担が集中してしまい、怪我の元になります。
そのためこのようにチーティングを使ってのトレーニングでは、ある特定の動作を行う時の体のフォームや意識の付け方などがとても大切になってきます。
まとめ
正しくチーティングを使ったトレーニングをお勧めする理由としては、体に負担をかけず、小さい力でも速く力強い動いを習得できるようになるからです。
この体の使い方を習得できるようになると運動のパフォーマンスも向上してきます。そして、トップのスポーツの世界ではこのような体の使い方ができているかできていないかによって、勝敗を分けることにもなります。
運動のパフォーマンスを高めたい人は、一つに筋肉を鍛えるようなトレーニングではなく、連動を意識し、チーティングのテクニックを使ったトレーニングの方法で取り組むことをお勧めします。
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