#134 アームカールで体の連動を作る方法
アームカールとは、肘を曲げる動きをするウエイトトレーニングです。一般的には、力こぶと呼ばれふ上腕二頭筋を鍛えるトレーニングで、他にも上腕筋、腕橈骨筋を鍛えることもできます。
やり方としては、主に座位で行う場合と立位で行う場合があり、より体幹部に刺激を入れたい場合は立位で行うといいとされますが、難易度は高くなります。
抵抗の掛け方は、バーベルやEZバー、ダンベル、ケーブル、ケトルベルなど様々なものを利用することが可能です。
このアームカールは、一般的に上記で説明したものなのですが、体幹部と上肢のつながり、つまり体の連動を作りながら行うことも可能になります。もし、腕周りを太くしたい、力こぶをデカくしたいと思うのであれば、必要ないことではありますが、スポーツ選手など動作改善をしたい人の場合には、この体の連動を作る作業というのはとても大切になってきます。
本記事では、このウエイトトレーニングの種目の一つであるアームカールを使って体の連動を作る方法を紹介していきます。
目次
- 基本的な姿勢を作る
- 広背筋に刺激を入れる
- 体の連動を作りながら、アームカールをする方法
- まとめ
基本的な姿勢を作る
まず、連動を作りながらアームカールを行うためには、基本的な立位姿勢を作ることが大切です。
この基本的な姿勢のポイントとして、股関節の捉え、内転筋の意識、胸骨の意識、肩の脱力、頭の位置が重要になります。そして、これらのポイントができた状態で、足の母指球、膝、股関節、肩、耳が一直線になった立位姿勢を取れれば、基本的な姿勢の完成です。
股関節の捉え
股関節の捉えとは股関節周りの筋肉をまんべんなく使えていて、上半身の重心が股関節の関節の中心に乗っている状態のことをいいます。この股関節の捉えの感覚を作るためには、スクワットやランジなどのエクササイズで、股関節をはめるような感覚で行っていくことと、胸郭の柔軟性を向上させていくと、股関節の捉えとは何かということを理解することができるようになってきます。
立位時の実際の股関節の構造としては、股関節の内旋位と骨盤のやや前傾位を意識します。この時に腿の前や外側、腰にテンションがある場合は間違っていることになります。
» 参考: ”股関節の捉え”と”ヒップヒンジ”の違いを解説します
内転筋の意識
股関節の捉えの意識ができるようになると自然と内転筋への意識も高まってきます。普通の立位姿勢では内転筋に対して意識することは難しいので、練習方法としては、しっかりと内転筋を働かせながらランジや片足立ちのスクワットなどを行います。そうすることで、立位時でも内転筋に対して意識を向けやすくなります。
» 参考:内転筋を鍛えて体幹を強くする方法
胸骨の意識
胸骨とは胸の真ん中にある骨のことで、ここに意識を持って動かせることで、上半身の重心の位置を自由に動かせられるようになります。この技術は、体幹部と脚の連動を作るための筋肉である大腰筋を使えるようになることでもあり、立位姿勢ではとても重要になってきます。
股関節の捉えと内転筋の意識を作ることができると骨盤周りが安定し、胸骨の意識ももちやすくなります。と言うのも骨盤は上半身の土台でもあり土台が不安定でいると上半身も不安定になってしまうからです。建築現場を想像してもらうとわかりますが、足場が不安定であると働いてる人がしっかりと働くことができません。体も工事現場と同じようなことが起きていると言うことです。
» 参考:胸骨の意識が姿勢を変える【体幹を強くしたい人へ】
肩の脱力
上肢と体幹部のつながりを作るためには肩の脱力が必要不可欠です。肩の脱力のためには、肩を下げる作用のある筋肉である前鋸筋や広背筋がしっかりと機能していることが大切になります。これらの筋肉は、ヨガのハンドスタンドの種類のトレーニングだったり、胸郭の柔軟性を上げていくことで使えるようになってきます。実際に腕立て伏せの姿勢になってもらい、肩の力が抜けて前鋸筋と広背筋を使われているかをチェックしてみてください。立位でも肩の脱力をできるようにするためには、うつぶせの姿勢でも肩の力が抜ける技術が必要になります。
» 参考:なで肩を治すより、なで肩になった方がパフォーマンスが上がる理由
頭の位置
最後に頭の位置ですが、頭のてっぺんから天井にかけてまっすぐ上に釣り上げられているような意識を持つ必要があります。これにより、体の軸を形成しやすくなり体全体のつながりを作ることができます。ですが頭の位置だけを意識しても体全体のつながりを作ることができず、上記で話した股関節の捉え、内転筋の意識、胸骨の意識、肩の脱力をセットに行えることが大切になります。
» 参考:頭の位置が前にずれていることでの身体への影響
広背筋に刺激を入れる
体のつながりを作りながらアームカールを行うための基本的な姿勢を作れたとは、アームカールを行う前に広背筋に単独で刺激を入れていきます。そうすることでアームカールをするときに自然と広背筋にも力が入り、体の繋がり、つまり連動を作ることができるようになります。
広背筋に刺激を入れる方法としてさまざまなやり方がありますが、ここではある一つの方法を紹介します。その方法とは、前腕を最大限に収縮させて広背筋に刺激を入れる方法です。座った状態や寝た状態で、肘を伸ばし手首の力だけで前腕の屈筋群を収縮させていきます。この時に薬指と小指だけをしっかりと曲げて前腕を収縮させることがポイントです。そして、前腕の屈筋群を最大収縮させていく動きを何回か繰り返していくと広背筋まで刺激が入るようになっていきます。
上腕二頭筋と広背筋の連動を作る
今まで説明してきたことが全てできるようになったら、初めてアームカールのトレーニングで上腕二頭筋と広背筋の連動を作ることが簡単にできるようになります。
アームカールを行う際の意識の仕方としては、しっかりとした立位姿勢を作り、小指と薬指を中心にバーベルなどの重りを持ち、肘を曲げていきます。そうすることで、肘を曲げた時に上腕二頭筋だけでなく広背筋も自然と収縮してきます。感覚としては、骨盤や体幹がしっかりと安定し体幹部の深部の筋肉の力を利用してアームカールをおこなっている感覚になります。
補足ですが広背筋は上肢から骨盤まで付着しているため、アームカールで広背筋をしっかりと使えるようになると、実際には上肢から下肢までの連動も作れていることになります。
まとめ
アームカールで体のつながりを作る方法について紹介してきました。
アームカールで体のつながりを作る方法のポイントとして、正しい立位姿勢と広背筋に対してアームカールを行う前に刺激を入れることが大切になってきます。
ただ単にアームカールで上腕二頭筋を鍛えるだけでなく、どうせ鍛えるなら体の連動のクオリティーを上げるために今回説明した方法でアームカールを行ってみてください。